「スマートパスポート構想」の完成を発表する田中孝司社長

KDDIは、10月17日、2012年冬新商品発表会を開催した。発表会では田中孝司社長が「これまで取り組んできた『スマートパスポート構想』がついに完成した」と宣言した。

●「3M戦略」第一弾の「スマートパスポート構想」が完成、第二弾は来年から

今年1月16日に田中社長が明らかにした「スマートパスポート構想」。好きなデバイスで、最適なネットワークを利用して。サービスやコンテンツを利用できる通信環境の整備を目指す「3M戦略」の前哨戦といえる取り組みだ。

「スマートパスポート構想」では、スマートフォンをはじめとするさまざまなデバイスからインターネットの世界を自由に、そして安心して利用できるサービスの提供を目指している。2月14日に指定の固定通信サービスを利用しているユーザーを対象に、スマートフォンの毎月の利用料金を1480円割引く「auスマートバリュー」を「スマートパスポート構想」の第一弾として開始した。その後、人気アプリを取り放題で利用できる「auスマートパス」、映画、アニメなどが見放題の「ビデオパス」、音楽取り放題の「うたパス」を月額の定額料金で提供してきた。

この結果、10月17日時点で「auスマートバリュー」は200万人、「auスマートパス」は250万人の契約者を獲得。さらにauに契約すると発行され、マルチデバイスでダウンロードしたアプリなどを管理できる「auID」の登録者数は1000万人に上った。

田中社長は「今年1月に発表した『スマートパスポート構想』がついに完成した。さらにMNP(モバイル・ナンバー・ポータビリティ)は、12か月連続で1位を取り続けることができた。来年は次のことを始めたい」と話し、来年から「3M戦略」第二弾に取り組むことを示唆した。

●品質を大事にした高速化、2013年3月にはカバー率96%へ

いま、各キャリアが力を入れている高速通信サービス「LTE」。田中社長は「基地局を増やすだけではなく、品質を大事にしていきたい。どこでもauのLTEのハイスピードを利用できる環境を整えていきたい」と方針を明らかにした。

800MHz帯でLTE網をさらに広げ、2012年10月末までには実人口カバー率84%、2013年3月末までに96%を目指す。そして、現在75Mbpsの接続速度を、2013年以降にLTE最速となる112.5Mbpsまで高める計画だ。

電波のつながりやすい環境づくりとして、小型基地局「ピコセル」を積極的に活用していく。基地局は120℃の角度で電波を発信し、複数の基地局を対象エリアを包囲するように建てることで電波のつながるエリアをつくり出している。しかし、基地局から離れるほど電波は弱くなり、またビルなどの遮蔽物によって電波がさえぎられることがある。そこで電波の弱い箇所に小型の基地局を建て、どこにいても電波が届く環境を整えていく。

さらに新技術「Optimized Handover」を導入し、LTEと3Gネットワーク間を移動した際の切替えをスムーズにする。これによって、移動中でも途切れることなくモバイル通信を利用できるようになる。

●まだまだ始まる新サービス、読み放題の電子書籍配信サービスがスタート

「スマートパスポート構想」が完成したとはいえ、サービスの拡充は止めない。電子書籍配信サービス「LISMO Book Store」に読み放題プランを追加し、12月上旬に「ブックパス」としてリニューアルする。

コンテンツは、コミックを中心に週刊誌、小説、実用書など、約500冊を提供する。2013年3月まで、auスマートパス会員限定の先行サービスとして提供。読み放題プランは月額590円だが、2013年3月までは無料で提供する。なお、読みたい書籍を1冊ごとに購入する「アラカルト購入」プランは継続する。

また、2013年3月31日まで、「auスマートパス」会員を対象に、「auスマートパス」「うたパス」「ブックパス」をセットにして、「auスマートパス」の月額料金と同じ390円で提供するキャンペーンを実施する。これによって、アプリ、クーポン、セキュリティ、音楽、本など、多彩なコンテンツを月額390円で楽しめる。さらに、期間内に「ビデオパス」を加えて月額780円で利用できる割安のセットプランも用意する。

→「4G LTE」対応スマートフォン「HTC J butterfly 」など、2012年冬モデルの詳細はこちら