(左から)『ザ・レイド』に出演したヤヤン・ルヒアン、イコ・ウワイス

麻薬組織のアジトであるビル内でのスワット隊員の死闘を描き、世界中を熱狂させたばかりか、続編の製作やハリウッドでのリメイクも決定したインドネシア製アクション『ザ・レイド』。主演のイコ・ウワイスと敵役のヤヤン・ルヒアンは、ともに“シラット”と呼ばれるインドネシアの格闘技の名手で、本作ではアクションの振付を兼任している。今や全世界のアクション映画ファンが注目している存在といっても過言ではない、そんな彼らに話を訊いた。

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劇中のリアルな格闘についてウワイスは「練習は十分に積んだが、それを忘れる必要もあった。というのも振付を覚えて演技をすると、殴られる時に相手を見ずに受け身を取るから。こんなのは現実にありえない動きだ。だから相手を見て、それから防御の姿勢を取ることを徹底した」と説明する。また、彼は「すべてが本物のファイトで、相手を信頼しているからこそできた」という。となるとアクシデントも起こりそうなものだが、ルヒアンは「ケガをするのは当たり前で、各シーンで必ずケガをしていた。でもケアは万全だったから最小限のアクシデントで済んだよ」と、涼しげに語る。

ウワイスとルヒアンはいずれもジャッキー・チェンの大ファンで、『ザ・レイド』もジャッキー映画から多大な影響を受けているという。ウワイスが「ジャッキーはレジェンドだ。この映画を撮る前にもシャッキーの映画をたくさん観たよ。格闘時の痛みの演技や、出演者のすべてを動かし続ける演出など、本作につながるヒントのすべてが彼の映画にあった」と言えば、ルヒアンは「ジャッキーは武術の達人でありながら、素人のアクションを無理なく演じることができる。見習おうとしたけれど、これが難しい。やってみて、改めてジャッキーがレジェンドである理由がわかったよ」と語る。

続編『Berandal』(原題)は、実は『ザ・レイド』よりも前に製作が進行していた企画。『ザ・レイド』を撮る際に、監督からは『Berandal』よりも抑えたアクションの振付を要求されていたという。また、『ザ・レイド』では高度過ぎると判断された振付が、続編に回されているとのことだ。つまり『Berandal』には、『ザ・レイド』以上に壮絶なアクションが盛り込まれているということ。楽しみに待ちたい。

取材・文:相馬学

『ザ・レイド』
10月27日(土)シネマライズ・角川シネマ有楽町他 全国ロードショー