<続報>「iPhone 5」キャリア対決、発売から1か月、ソフトバンクの優勢が続く

2012.10.25 19:43配信
デザインが大きく変わった「iPhone 5」

9月21日の発売以来、品薄が続くアップルの「iPhone 5」。iPhoneの人気は根強く、他のAndroid搭載スマートフォン・従来型携帯電話と比べると、2キャリア分を合計した総販売台数はケタ違いだ。量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、「iPhone 5」に限ったキャリア別シェアは、前機種「iPhone 4S」同様、ほぼ6対4の比率で、ソフトバンクモバイルが優勢を保っている。

●週ごとに上下するキャリア別シェア 累計は「ほぼ6対4」で変わらず

「iPhone 5」は、「iPhone 4S」から大きく変わった。最もわかりやすい変化は、外観デザインと、従来の3.5インチから4.0インチに縦に大型化したディスプレイ。画面比率は3:2から16:9へ、解像度は960×640ピクセルから1136×640ピクセルになった。彩度も44%向上し、写真や文字をくっきりと一段と鮮やかに表示する。このほか、付属イヤホン、充電などに利用する有線コネクタの形状、イヤホンジャックの位置が変わり、200以上の新機能を搭載したOS「iOS 6」を搭載する。また、新たに高速データ通信サービス「LTE」に対応し、ソフトバンクモバイル、auとも、「iPhone 5」の発売に合わせてLTEサービスをスタート。LTE向けの料金プラン・料金体系を導入した。こうしたさまざまな変更点に対して、ネガティブに受け取る人もいるかもしれない。特に「iOS 6」から一新されたマップアプリに対する不満の声が大きい。現状、「iPhone 5」に対する評価は、「絶賛」と「期待外れ」の両極端に分かれているように思う。

ただ、LTEは、今後間違いなく主流になるはずのサービスだ。現時点でLTEのネットワークが全国をカバーしていなくても、対応せざるを得なかった。もし、このタイミングでLTEに対応しなければ、LTEに対応したAndroid搭載スマートフォンにスペック面で劣ることになり、これまで通りの売れ行きを維持できたどうかは疑わしい。「iPhone 5」は、従来の3Gのデータ通信速度でさえ「iPhone 4S」より高速化しており、ソフトバンクモバイル版(SB版)は下り最大21Mbps、au版は下り最大9.2Mbpsで通信できる。LTEと、モバイルWi-Fiルーター代わりに使える「テザリング」ばかりに注目が集まっているが、それ以外の新たな要素にも目を向けてみよう。単なるスペックアップではなく、iPhoneらしさを残しつつ、新たな技術を取り入れた正常進化だと感じるはずだ。

週ごとに「iPhone 5」に限ったキャリア別販売台数シェアを集計すると、発売日を含む9月第3週(2012年9月17~23日)は、ソフトバンクモバイル63.2%、au36.8%で、その差は26.3ポイントと、かなり開いていた(詳細は<「iPhone 5」キャリア対決、発売1週目はシェア63.2%でソフトバンクが制する>を参照)。販売台数が前週の半分程度に下がった9月第4週(9月24~30日)は、ソフトバンクモバイル57.0%、au43.0%と、差は14.0ポイントに縮まった。以降、直近の10月第3週(10月15~21日)まで、ソフトバンクモバイルは50%台、auは40%台で推移している。

9月単月のキャリア別シェアは、ソフトバンクモバイル61.6%、au38.4%。スマートフォンは、発売初日やその次の土・日曜に多く売れる傾向があって、「iPhone 5」も同様に発売直後に大量に売れたため、キャリア別シェアの数値はほぼ発売第1週と同じだった。

発売日から1か月後の10月21日までの累計でのキャリア別シェアは、ソフトバンクモバイル58.1%に対し、au41.9%と、当初より若干縮まったものの、依然として差は15ポイント以上開いている。

週単位でのキャリア別シェアの動きや、キャリア・容量・カラー別に別機種としてカウントしている機種別の週間ランキングの順位をみると、一見、auが追い上げているようにみえるが、発売第1週の「貯金」があるために、累計ではシェアにそれほど大きな変化はなく、総販売台数を比べるとソフトバンクモバイルのほうがだいぶ多い。なお、容量別では両キャリアとも、64GB、32GB、16GBの順に多く売れている。

ソフトバンクモバイルは、他社の携帯電話を利用しているユーザー向けに、月額980円の基本使用料が1年間無料になる「【新】 iPhone かえトクキャンペーン」をはじめ、「のりかえ割」「iPhone かいかえ割」「スマホ下取りプログラム」など、さまざまなキャンペーンを展開。従来の流れを踏襲した機種変更・MNP優遇策が、多くのユーザーに支持されたのだろう。2008年7月に発売した国内初代モデル「iPhone 3G」から培ってきたイメージも大きいと思われる。

さらに10月1日には、イー・アクセスとの業務提携・ネットワークの相互乗入れと「テザリングオプション」の提供開始時期の前倒しを発表。当初の予定より1か月前倒しし、今年12月15日から「テザリング」を利用できるようにする。長いスパンで考えると、ソフトバンクモバイルのiPhone 5ユーザーにとって、ソフトバンクのイー・アクセス(イー・モバイル)の買収によって得られるメリットは大きい。ソフトバンクモバイルによると、来春以降、FDD-LTE方式の高速データ通信サービス「SoftBank 4G LTE」で使用している現行の2.1GHz帯と、イー・モバイルが展開している国際バンドの1.7GHz帯の2つの帯域(周波数)を「iPhone 5」で利用できるようになり、LTE対応エリアがいっそう充実し、電波状況もより安定するという。「iPhone 5」では、仕様上、2.1GHz帯しか利用できないauの「4G LTE」と比較した場合、利用可能な周波数の違いは大きな強みになるだろう。

「iPhone 5」の売れ行きと予約状況について、両社の広報にたずねると、ソフトバンクモバイルは、実売数や出荷数は公表できないものの「圧倒的な予約数」という。auも同様に予約者が非常に多く、まだ当日販売できる状態ではないそうだ。ともに、ユーザーからの反響は「過去最大」と、好調をアピールする。一方、家電量販店の携帯電話コーナーの店員によると、「iPhone 4S」に比べて初回から入荷数が少ないそうで、お客さまを待たせてしまう現状に困っているようだ。容量・カラー別に、「○月○日予約受付分までお渡し済み」「入荷見込み:2~3週間」といった内容の告知を掲示している店舗もみかけた。「BCNランキング」のデータをみる限り、土・日曜を中心に、コンスタントに売れている。予約者におおむね行きわたり、品薄が解消されるまでに販売台数がどこまで積み上がるのか、今後の動向に注目したい。(BCN・嵯峨野 芙美)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。

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