「第12回東京フィルメックス」開会式の模様

世界各地の秀作を集め、多くの映画ファンの支持を集めている映画祭「第12回東京フィルメックス」が19日に開幕し、東京のTOHOシネマズ 有楽座で開会式が行われ、発売から2分で完売したというチケット争奪戦を勝ち抜いた映画ファンがつめかけた。

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開会式の冒頭に登場した林加奈子ディレクターは「地球上で様々な事件が起こっています。こんな時でも、こんな時だからこそ、映画を観て考え続けようと思います。現代を生きる私たちがもっと強く生きるための映画がそろいました」と述べ、映画祭の開会を宣言。続いて、コンペティション部門の審査員であるアミール・ナデリ氏、フィリップ・アズーリ氏、チョン・スワン氏、篠崎誠氏が呼び込まれた。審査委員長を務めるナデリ氏は「この映画祭とは8年の付き合いになります。私の最新作に主演した西島秀俊さんともこの映画祭でも知り合った。この映画祭は我が家のようなもの」と振り返り、「東京フィルメックスは大学のような場所。ここにはレッドカーペットも大きなパーティもありませんが、良い映画を上映することと、良い観客を育てることに全力を注いでいる。私と審査員も映画について真剣に考え、良い選択をしていきたい」とコメント。最後に「私の映画は『CUT』と言いますが、映画祭の開幕を記念して、こう言いましょう。アクション!」と笑顔を見せると客席から大きな拍手が起こった。

その後、オープニング作品として韓国の鬼才キム・ギドク監督待望の最新作『アリラン』を上映。本作は『悲夢』以来、新作を発表してこなかったギドク監督が、出演、撮影などすべての作業をたったひとりで手がけた作品で、ドキュメンタリーとドラマ、そしてファンタジーが融合した意欲作。上映後にはギドク監督と観客の熱心な質疑応答が展開され、最後にギドク監督が観客への感謝の想いをこめて劇中で歌われるアリランを熱唱。約3年ぶりとなるギドク監督の新作だけあって、最後まで多くの観客がギドク監督の発言に耳を傾けていた。

映画祭は、有楽町朝日ホール、東劇、TOHOシネマズ日劇を会場に27日(日)まで開催される。

「第12回東京フィルメックス」
27日(日)まで有楽町朝日ホールほかで開催中