メガヒットミュージカルの“本家”がコンサート形式で待望の来日

2012.10.26 11:19配信
『ウィーン版ミュージカル エリザベート 20周年記念コンサート』舞台より(撮影:岸隆子) 『ウィーン版ミュージカル エリザベート 20周年記念コンサート』舞台より(撮影:岸隆子)

1992年のオーストリア・ウィーン初演以来、ドイツ、オランダ、ハンガリーでも上演されるなどドイツ語によるミュージカルとしては史上最大級のヒットとなったミュージカル『エリザベート』。ドイツ語で“死”を表すトートがハプスブルク家最後の皇后エリザベートを愛する物語は、日本でも1999年に宝塚歌劇団で上演されるやブームを巻き起こし、続く2000年からの東宝版も大ヒット。いまや日本ミュージカル界においても欠かせない作品のひとつとなっている。ウィーン初演から20年目にあたる今年、5年前の初来日公演で日本のファンを熱狂させた本家ウィーン版のオリジナルキャストが再来日を果たした。キャストが歌で綴っていくコンサートバージョンではあるが、芝居バージョンに引けをとらないほど迫力は充分。初日を控えた10月25日、東京・東急シアターオーブで公開リハーサルが行われた。

『ウィーン版ミュージカル エリザベート 20周年記念コンサート』チケット情報

幕が開くと、舞台中央のオーケストラの前に、登場人物たちが影のように立ちつくしている。エリザベートを殺した暗殺者ルキーニ(ブルーノ・グラッシーニ)が現れ、死後の世界での裁判が始まる。ルキーニは、エリザベート(マヤ・ハクフォート)がトート(マテ・カマラス)、つまり“死”を愛していたから殺したのだと言い、エリザベートとハプスブルク家終焉の物語を語りだす。オーストリア皇帝フランツ(アンドレ・バウアー)との結婚、姑である大公妃ゾフィー(ガブリエレ・ラム)との軋轢、そして息子ルドルフ(ルカス・ペルマン)との悲劇的な別れ。そのどれもが、ひそやかに彼女を見守り、時に情熱的にエリザベートを誘惑するトートとの関係で彩られる。

27歳から18年間エリザベートを演じてきたハクフォートは、これが最後のエリザベート役になる予定だ。少女時代では伸びやかさ、結婚して自我に目覚める前半は意思を感じさせる強さ、さらに晩年では威厳に満ちた響きまでと多彩な歌声で魅了する。一方のトート役はハンガリーとウィーンで同役を演じ、今年は日本語で東宝版の舞台に立っているカマラス。ロックスターのようなセクシーさと同時にクールさも併せ持ち、時を越えて存在するウィーン版ならではのトートだ。またルドルフ役のルカス・ペルマンは細身の甘いルックスで、苦悩する皇太子を繊細に演じている。なにより“死”の視点から人間を描いたミヒャエル・クンツェの脚本(作詞も)、さらに荘厳でドラマチックな楽曲の合間にユーモアも垣間見せるシルヴェスター・リーヴァイによる音楽が秀逸。何度観ても、どの世代が観ても、新たな発見がある。本作が愛され続ける理由はそこにあるのだろう。

公演は10月31日(水)まで。チケットは発売中。

取材・文:佐藤さくら

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