金賢聖(清水エスパルス)  (c)J.LEAGUE PHOTOS 金賢聖(清水エスパルス)  (c)J.LEAGUE PHOTOS

試合後、両軍の監督は異口同音のセリフを口にした。「次の試合は大会も日にちも異なり、全く別物だと捉えている。来週結果を出すために我々は問題を解消していかなければいけない」(ゴトビ監督)、「今日は負けたが、違う大会に挑むわけだから、イーブンな状態での決勝となる。どちらかにアドバンテージがあるわけではない」(ジョルジーニョ監督)。前者は勝者の、後者は敗者の弁である。10月27日、アウェイに乗り込んだ清水・ゴトビ監督も、1-2で痛い星を落としたジョルジーニョ監督も、この日のJ1リーグ30節は11月3日(土・祝)のナビスコカップ決勝の前哨戦ではないと、否定したのだった。

試合は早々に動いた。DF・平岡康裕からのロングフィードを受けた右SB・吉田豊がゴール前へ折り返し、FW・金賢聖(キム・ヒョンソン)が柔らかなボールタッチから左足一閃! 7分、清水が先制点を奪った。先制点を奪われ逆に攻勢に出たのが鹿島だ。43分にMF・小笠原満男のコーナーキックをDF・岩政大樹が右足で合わせ同点。このまま、前半終了かと思われた1分後、金の左からのクロスにFW・大前元紀が頭から突っ込み、1-2としたのだ。試合はこのまま、スコアが動くことはなかった。

金と大前のゴールは、コンビネーションと個人技が合致した素晴らしいゴールだった。ただ、鹿島1-2清水が適切なスコアかと言うと、そうではない。試合を支配し、より多くの決定機を作ったのは鹿島だった。

20分、FW・大迫勇也がDFの背後を突き、GKと1対1となるが、ループシュートはGK・林彰洋へのパスとなった。63分、大迫からのクロスボールをMF・ドゥトラがドンピシャヘッド! しかし、シュートはポストを叩く。ロスタイム、MF・遠藤康のグラウンダーのボールはFW・ジュニーニョに惜しくも届かなかった……。「試合を見れば、勝利に値する内容だった。主導権を握り、多くのチャンスを作った」と語ったジュニーニョの言葉は、決して負け惜しみではない。事実、ゴトビ監督は「我々には運があった」と認めた。その上で、清水の指揮官は「しっかり準備し、組織をオーガナイズし、勝利を目指す姿勢を見せ、我々は運をつかんだ」と胸を張った。

決戦1週間前、清水は勝利で自信を深め、鹿島も敗れながらも少なからぬ手応えを感じた。11月3日(土・祝)・国立競技場での”第2ラウンド”で、果たしてタイトルを手にするのはどっちだ。

ナビスコカップ決勝のチケットは売り切れ。試合当日13:00より、フジテレビ系列にて生中継。