『RENT』のキャスト&スタッフ 『RENT』のキャスト&スタッフ

ブロードウェイでは12年4か月のロングラン、2006年には映画化もされたミュージカル『RENT』。世界的人気を誇るこの作品が2011年、オフ・ブロードウェイで新演出版として生まれ変わった。その“新・RENT”の日本版が10月30日、東京・シアタークリエにて開幕。前日には公開稽古と会見が行われ、賀来賢人、中村倫也、ソニンら出演者が意気込みを語った。

『RENT』はプッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』を下敷きに、舞台を20世紀末のNYに置き換えたもの。貧困やドラッグ、エイズ、同性愛といった現代的悩みを抱える若者が、それでも夢に向かって生きていく姿を描く。ロックからゴスペル、ヒップホップ、タンゴと曲調豊かで現代的な名曲の数々も、観客の心を掴む要因のひとつだ。

まず劇場に入ると、鉄骨で組み立てられた立体的なセットが目に入る。場所を限定する具体的なセットはほとんど登場せず、その無骨な鉄がさまざまな場所に変化していく。そのあたりはオリジナル版とも似ていて、オールドファンも懐かしく思いそうだ。そのセットの中で、からだ中からアドレナリンを出しまくった出演陣が躍動する。『RENT』で高らかに謳い上げられるテーマは、「今日を懸命に生きる」こと、そして「お互いを思いやる愛」。俳優からミュージシャン、これが初舞台となる者まで、全オーディションで選ばれた出演者が、作品への、お互いへの愛情いっぱいに全身で演じる様は、『RENT』のテーマにも通じて、観るものを感動させる。映像作家のマーク役は、賀来賢人。様々な事情を抱えた仲間たちをビデオで撮り続け、傍観者ゆえの孤独を抱えている役どころだが、賀来はことさら孤独感を強調はせず、どこか観るものに母性本能を抱かせるような寂しさを醸し出していて、面白い。そのほかもキャストすべてがその役として自然に舞台の上で存在し、説得力のある舞台を創り上げていた。2幕冒頭、パワフルで個性的なキャストの声がひとつになって聴かせる名曲「Seasons of Love」は圧巻のひと言。また、ところどころで映像を効果的に使用、そのあたりは新演出版ならではの見どころだ。

会見では賀来が「1秒も無駄がないくらいに濃密な稽古をしてきて、カンパニーも最高のコミュニケーションがとれているので、自信しかない。ここまで“いろんな人に観て欲しい!”って思えるカンパニー、作品は今までにない」と興奮の面持ちでアピール。ソニンも「日本ではタブーとされているテーマや表現の仕方が、『RENT』にはありのまま生々しく出てきます。普段出来ないことを舞台でやることによって、私たちもですが、観客のみなさんもスカッとした、内に秘めたものが外に出ていくような感じを体感していただけるんじゃないかな」と語り、新生『RENT』に自信を見せていた。

公演は12月2日(日)までシアタークリエにて。その後12月6日(木)から9日(日)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて上演される。チケットは発売中。

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