■武井咲にとってはツイてなかった『Wの悲劇』と『息もできない夏』

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『アスコーマーチ』から1年後の2012年4~6月期、武井咲は同じくテレ朝系で放送された『Wの悲劇』に主演するが、平均視聴率はやはり1ケタの9.09%。裏番組の『パパドル!』(平均視聴率は8.16%)には勝ったものの、有名な作品の連ドラ化で初のゴールデン主役を担った武井咲としては、残念な結果に終わってしまった。

まあ、この作品はミステリーというよりも、ネタ系のドラマという味付けが強かったので、最初からマニア向けに作られていたのかもしれない。

見どころは放映時にアップした「オスカーの勢力争いとしてみても面白い『Wの悲劇』」 [ http://ure.pia.co.jp/articles/-/5585 ] にも書いたので割愛するが、二役を演じた武井咲の演技力は、もっと評価されてもいい内容だった。

 
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そして、次クールの7~9月期に武井咲が主演したのが、社会派のテーマを取り入れた『息もできない夏』。所属事務所のオスカーとはかなり太いパイプがあるテレ朝を離れ、フジテレビ火曜9時枠への進出だった。

離婚後300日以内に生まれた子どもは前夫の戸籍に入れなくてはいけないという、民法第772条に起因する無戸籍問題を扱ったこのドラマは、武井咲にとって勝負の作品だったと思う。

ところが、平均視聴率は9.79%。江口洋介、木村佳乃、北大路欣也、浅田美代子、要潤など、脇は固めていたものの、またもや結果は残せなかった。

ただ、これも武井咲に責任を追わせるのは可哀想な作品だったと思う。放送前は社会派エンターテイメント、ラブ&ファミリーストーリーなど、いろいろな宣伝文句を並べていたが、実際は重いテーマをドラマとして消化できている内容ではなかった。

それぞれの登場人物がこのドラマの世界で本当に生きているとは思えない言動が多かったし、ドラマとして説明すべき内容を放ったらかしにしている箇所も多かった。たぶん、作っている方も途中でどうまとめればいいか分かんなくなっちゃったんだろうな。いろいろツッコミながら笑えるドラマではあったんだけど、テーマが重いだけにそういう楽しみ方もしにくかったりして、何とも中途半端な作品だった。

とにかく、初回の視聴率は12%を超えていたのに、最終的には1ケタに沈んだこのドラマとの出会いは、武井咲にとってはツイていなかった。