大きな盛り上がりを見せた10月30日の大阪を皮切りに、11月20日に神戸、来年3月11日には京都と、
今シーズンは市民参加型の大規模マラソン大会が関西3大都市でもそろって初開催となる。
当選倍率は、大阪で5.5倍、神戸、京都いずれも3倍を超えるという。
ちなみに、来年2月で6回目を迎える東京マラソンにいたっては、当選倍率9.6倍。過去最高だそうだ。
走りたくても約10人にひとりしか走れないなんて……。いやー、空前のランニング・ブームですな。

そんな中、秋~冬にかけてのマラソン・駅伝シーズンでは、ほとんど毎週のように何かしらの大会がテレビ中継されている。
特に今シーズンは、来年に控えるロンドンオリンピックの選考もあって注目度も高い。
走る人も走らない人も、見るのは好きっていうファンにとって、楽しみなシーズンの到来である。


ちなみに、オリンピック選考レースは以下。

男子
●12月4日(日)福岡国際マラソン(テレビ朝日系にて放送)
●2月26日(日)東京マラソン(日本テレビ系にて放送)
●3月4日(日)びわ湖毎日マラソン(NHKにて放送)


女子
●11月20日(日)横浜国際女子マラソン(テレビ朝日系にて放送)
●1月29日(日)大阪国際女子マラソン(フジテレビ系にて放送)
●3月11日(日)名古屋ウィメンズマラソン(フジテレビ系にて放送)


さらに、今後の主な大会のテレビ中継予定はこちら。

●NHK
全国高校駅伝(12/25)、都道府県対抗女子駅伝(1/15)、都道府県対抗男子駅伝(1/22)、びわ湖毎日マラソン(3/4)

●日本テレビ系
箱根駅伝(1/2~3)、東京マラソン(2/26)

●TBS系
全日本実業団対抗女子駅伝(12/18)、ニューイヤー駅伝(1/1)、別府大分毎日マラソン(2/5)

●フジテレビ系
国際千葉駅伝(11/23)、大阪国際女子マラソン(1/29)、名古屋ウィメンズマラソン(3/11)

●テレビ朝日系
横浜国際女子マラソン(11/20)、福岡国際マラソン(12/4)


長年テレビ中継を見ていると、高校駅伝で見た選手が大学生になって箱根駅伝や全日本駅伝で活躍し、
さらには社会人になっても実業団駅伝やマラソンに登場する。そうやって選手を覚えていくと、
なんか甥っ子や姪っ子の成長を見る親戚のおっちゃんみたいな気分に近い。

さて、これらのテレビ中継において欠かせないのが、解説者の存在である。
テレビ観戦における彼らの存在は、プロ野球やJリーグの解説者以上に重要である。
だって、我々視聴者にとっては、走ってる姿を見てるだけなんだから。
解説者のいかんによって、中継の面白さは格段に変わる。
そんなわけで、ここではまったくの独断と偏見で好きな解説者ベスト3を挙げてみた。


まずは第3位、千葉真子さん。


現役時代からチバちゃんの愛称で親しまれ、小さい体のどこにそんなスタミナがあるのってくらいの馬力とガッツで、アテネ世界選手権1万メートル、パリ世界選手権マラソンでともに銅メダルに輝いた元トップランナー。
まだまだ解説経験が浅く、現役時代と変わらぬ軽量ボディゆえにか、結構な頻度でバイクリポーターを務めることが多い。
激走するランナーに併走しながら独特の高音ボイスで必至に話す姿は、思わず「バイクから落ちないでぇー」とハラハラドキドキのエンタメ性にあふれており、なぜだか応援したくなる。
今後の解説に期待したい人物だ。


 

続いて第2位、増田明美さん。

ロサンゼルスオリンピック女子マラソン日本代表の元トップランナーである。もう女子の駅伝・マラソンほぼ全部で解説してるんじゃない? ってくらいおなじみ、解説歴18年を誇る超ベテランだ。
そんな彼女の一番の特徴は、“おしゃべり”力である。『おしゃべりなランナー』という著書を持つだけに、その聞き取りやすい声はすんなり耳になじむ。
そして、「えっ! なぜそんなことまで……」ってくらい選手のプライベート情報に精通しているのである。
その取材力たるやすさまじく、メジャーな選手もそうじゃない選手も分け隔てなく(選手すべて「さん」づけで呼ぶのも特徴)、個々の趣味や好みはもちろん休日の過ごし方に至るまで、解説の絶妙なポイントにマメ情報を挟み込んでくる。その“おしゃべり”を聞いていると、まったく知らない選手にも不思議と親近感が湧いてくるからアッパレだ。
おそらく取材される選手たちも、近所のおばちゃんと“おしゃべり”してるような安心感で、思わずポロリといろんなことをしゃべってしまうのではなかろうか、きっと。


そして第1位が、金哲彦さん。

大学、社会人ではランナーとして第一線で活躍し、NPO法人ニッポンランナーズを創設するなど、指導者として高い実績を持つ人物である。彼がすごいのは、わかりやすく的確な技術解説力にある。素人の私が偉そうに言うのもなんだが、そんな素人でも「なるほどねー!」と思わず納得できるのだからしょうがない。カラダのどの部分をどう使えばいいのか、ランニングフォームの具体的な解説を聞いているだけで、自分も早く走れるんじゃないかと思わず錯覚をおこしてしまう。その指導力はピカイチだ。昨今のランニング・ブームを陰で支える人物と言っても過言じゃない。著書も膨大で、『体幹ランニング』と『誰でも「たった20回」の練習でフルマラソンを完走できる!』をまずはオススメしたい。なんせこれを読んだおかげで私もこの秋フルマラソンに初挑戦するのだから。まさにランナーにとって神様みたいな人。文句なしの第1位なのだ。

 

<参考図書>

 

 

 




『体幹ランニング』
金哲彦
講談社 1400円

 









『誰でも「たった20回」の練習でフルマラソンを完走できる!』
金哲彦
マガジンハウス 1470円
 

うえだ・てつし 1974年生まれ。ぴあ株式会社メディア局ウレぴあ編集部所属。まもなくフルマラソンに初挑戦する予定。