市販の“浮気検査キット”は信用できない

まず本格的な科学分析の話をする前に、どうしても専門家から聞いておきたいことがあった。インターネットで「浮気検査」と検索したら山のように販売サイトが見つかる、数千円~1万円程度の“浮気検査キット”についてだ。宣伝文句をそのまま信じると、疑わしい相手の下着に薬剤を振りかけるだけで、性交の証拠(精液成分があれば色が変わる)を得られるらしい。

本当ならばパートナーの浮気に悩む男女にとって、頼もしい味方になってくれるはず。しかし櫻井氏は「浮気検査キットはまったく信用できませんよ」と断言する。なぜか? 何よりも検出精度が問題だという。

精液だけに含まれる酵素に反応するという触れ込み自体、まるで当てにならないのだ。かつて櫻井氏が自分で試してみたところ、精液どころか汗や唾液にさえ反応してしまったそうだ。汗をかいただけでパートナーから「あなた浮気したわね!証拠もあるのよ!」と詰め寄られてはたまったものじゃない。

しかも、この“プロの探偵も使っている”と謳われている浮気検査キットについて、櫻井氏は驚きの事実を告げた。「そもそもアメリカ本国では“ジョークグッズ”として売られている商品なんですよ。それを輸入した日本の業者が“本格検査グッズ”と言って販売しているだけです。もちろん法的な証拠能力は一切ありません」。

なんと、本国ではジョークグッズ扱いだったとは……。言われてみればアメリカに本拠を構える大手通販サイト、アマゾンドットコムで浮気検査キットを調べると「おもちゃ」カテゴリに分類されている。安くて確実な浮気検査キットというのは、日本で生み出された幻想だったようだ。

では本当の“科学的な浮気調査”とはどんなものか? いよいよ実例を挙げて紹介しよう。