結婚に求めていたものが“別の形”で叶えられる場合も

――うーん、難しい(笑)。アラサー世代は周りの結婚ラッシュを目の当たりにする世代でもあります。焦る気持ちがありますよね。

清田「そうですよね……。みんなから取り残されていくとか、自分だけが劣っているのかもとか、そういった感覚に陥ってしまうのだと思います。

これは例えば、テストで自分だけ悪い点数を取った、就活のときに自分だけ就職できなかったといった苦しみにも近い感覚だと思うんです」

――やはり、結婚=幸せと思い込んでいる人が多いのでしょうか?

清田「この社会にはまだまだその図式が根強く残っていて、メディアや周囲から刷り込まれてしまいますもんね……。もちろん結婚したいという気持ちは否定されるべきものではありませんが、それをいったん“因数分解”してみるのは有効な作業だと考えています。

というのも、結婚したいという思いは、「最終的には自分のことを一番に優先してくれる人が欲しい」「日常を共にするパートナーが欲しい」「いざというとき支え合える相手が欲しい」という欲求の集合体だとも言えますよね。

この本では「付き合う」とはどういうことかを分解してみて考えてみました。定期的に会う、頻繁にLINEをする、家に虫が出たときに退治してくれる、手を繋いだりセックスをしたりする……など、恋人とは、つまりそういった関係を取り結ぶ人のことを指していた。

そう考えると、必ずしも恋人や夫婦という形を取らなくても、その内いくつかは叶えられるかもしれない。

実際、僕は10年くらい男友達とルームシェアをしていたんですが、東日本大震災が起こったときも、真っ先に連絡を取ったのは自分の両親や妹ではなく、一緒に住んでいる二人の友達でした。これは当時の自分にとって、ルームシェアが家族的な機能を果たしてくれていたとも言えます。

確かに結婚には、“一生涯保証”のようなイメージがあるかもしれません。でも、本当にそうでしょうか。僕がルームシェアをしていたときは、もちろんそれが一生続くとは思っていませんでした。それぞれのライフステージは数年単位で変化していくし、実際にルームメイトは結婚して引っ越していきました。

でも、結婚したところで転職や出産、親の病気や会社の倒産、浮気や価値観のすれ違いなど、いくらでもライフステージが変わる可能性はある。結婚は一生涯の居場所を保証してくれるものではなく、互いに維持・継続の努力を積み重ねて初めてそうなるという話ですよね。

そう考えると、ある時期は友達と暮らしたり、また一人になったり、実家に戻ったり、きょうだいと暮らしたりと、そのときのライフスタイルに合わせて数年単位で暮らしを変えていくという発想もありだと思っています。結婚に求めていたものが別の形で叶えられるというケースも多々あるはずなので。

ただし、唯一「パートナーと子育てをしたい」という願望に関しては、現在の日本の制度からすると結婚という形でしかなかなか叶えられないかもしれない。

もちろん里親制度を利用したりペットを飼ったりと、別の選択肢もあるとは思いますが、そこはもっと多様な家族の形が認められるよう、法律なり制度なりが整っていくといいなと個人的には考えています」

桃山商事の清田代表

――今回の本は日経ウーマンオンラインでの連載を厳選してまとめたものですが、男性から「女性ってこんなことを考えているんだ」といった感想は届きますか?

清田「そう思ってくれる男性がいたらいいなと思っていますが……レア中のレアであるのが現実です。我々のコラムは基本的に「女性たちは男のこういうところを嫌だと感じているようだ。だから我々も気をつけましょう」という態度で書かれているんですが、そういうことを書いても共感してくれるのは女性ばかりで、男性からの反応は正直薄い。そこは我々がもっと頑張らねばならないところなのですが……。

男性は基本、自分にとって耳の痛い話を聞いたとき、それを正面から受け止めようとする人と、「でも女だってそうじゃん」などと反発する人に分かれます。恋愛相手と考えた場合、前者の男性を選んだ方がうまくいく可能性が高いように思います。

そういう意味では、男性にとって嫌な話をしたときに聞こうとするか、耳をふさぐかが、良い男性かどうかを見分けるテクニックとして使えるかもしれませんね(笑)」

■桃山商事(ももやましょうじ)
清田隆之(代表)と森田雄飛(専務)による恋バナ収集ユニット。2001年結成。恋愛の悩みに耳を傾ける「失恋ホスト」を始め、これまで1000人以上の男女から見聞きした話をコラムやラジオで紹介している。

「日経ウーマンオンライン」で連載している恋愛相談が人気を博すほか、女性誌から医学雑誌まで、幅広いメディアに寄稿。著書に『二軍男子が恋バナはじめました。』、『生き抜くための恋愛相談』がある。