すごく楽しいです。『神様はじめました』のジャケットに使ってる文字のフォントも、わたしすごく気にいってて。その文字が二次元的というか、アニメや漫画、ライトノベルのロゴみたいになっているんですけど。それは、自分のイメージにはなかったもの。そうやって、わたしのイメージ以上のものが返ってくる作業もホント楽しいんです。

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――プロの現場にみずからも足を踏み込んだことで、ハナエさん自身いろんな嬉しい刺激をもらってるようですね。
 はい。地元の福岡から上京してきたことも、じつはすごく大きな影響を自分に与えてて。福岡では、こういう(ジャケットのような)ファッションをしてたらすごく浮いてしまうけど。原宿などへ行けば、わたしのような格好の人たちも普通にいるし、街を歩いてるだけでも刺激されるし。お仕事でいろんな方々にお会いするのも、とても刺激になっています。

――ハナエさんにとって東京は、「自分らしくいられる場所」?
 そうですね。福岡にいた頃は学校の規律も厳しくて、すごく大変でした。もちろん毎日制服姿だったし、校則にも縛られるし、時間的にも長く学校に拘束されるから、やりたいけど、時間がなくてなかなか出来ないこともいろいろあったんですけど。高校を卒業して上京し、そういう現実的な縛りから開放されたことはとても大きなことでした。

 

「女の子はじめました」っていう詞は、男性だから書けるフレーズ


――今回は、他の方の楽曲提供作になっていますね。
 今回の『神様はじめました』は、真部脩一さんに曲提供していただいたんですけど。♪女の子はじめました♪というフレーズから始まるその言葉に、「すごい!!」と思いました。これって女の子には書けない詞じゃないですか。女の子だったら、絶対に♪女の子はじめました♪って歌わないと思って。

――そうか、だって最初から…
 女の子として始まってるわけですからね(笑)。その表現は、男性ならではなんだなと思って。それが、すごく面白いなと。

――歌詞の中に♪悪い子になりたいよ♪という言葉も出てきます。ハナエさんの中にも、そういう願望ってありました?
 誰しもあると思います。なんだろう? 門限破ったりとか。そういう小さな悪いことはしてました(笑)。

――でも学生時代のハナエさんの場合、反抗したいけど、あえて枠の中にソッと身を置き、我慢をしていたタイプのようにも想像します。
 その通りです。学校の中には、制服を着崩してる子もいたんですけど。それで先生に怒られ余計な拘束を受けるのが嫌だったので、すごいきっちりしてました。心の中ではメラメラとした反抗心もありました。

――それを歌を通して発揮や発散していけるって、いいですよね。
 なんか、いろいろ好きなことはあるんです。ファッションも好きだし、自分で文章を書くことも好きだし、映像で表現するのも好きなように、そういうことにもいろいろ関わっていけたらとは思っているんですけど。その中でも、音楽って特別な存在で。上手く言葉には出来ないんですが、「歌しかない」という強い気持ちは昔からずっと心に抱いてますね。

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   ――それだけ自己主張の強い人が、他の人の楽曲を歌うことに対して抵抗を覚えたりはしませんでした?
 わたしの場合、シンガーソングライターとしてデビューはしましたけど、活動をしていく中で、「そこへ無理にとらわれる必要性はないかな」と思い始めていました。「もっといろんなことを自由に出来ないかな」と考えた時期にちょうど真部さんと出逢い、そこで一緒にやったことで、「また一つ視野が開けたな」とはすごく思っています。

 

 

『神様はじめました』はアニメの世界観にも合っていながら、独立したとても詩的な楽曲


――『神様はじめました』の歌詞は、物語ともリンクしているけど。同時に、ハナエさん自身のキャラクター性とも強くシンクロしています。
 そう思っていただけたのなら、すごく嬉しいです。

――アニメのテーマ曲を歌うことに関しては、どんな感想を抱いてますか?