■16位の米倉涼子が視聴率ではトップに

 

名だたる女優陣に挟まれて、注目度3位に入ったのは、女芸人の柳原可奈子だった。リサーチをスタートした時が、ちょうど『MONSTERS』への出演が発表された時期と重なったので、余計に票が増えた形だ。しかも、役柄は山下智久の彼女役。最近は数多くの芸人がドラマでも活躍しているので、この柳原可奈子にも注目が集まったのだろう。

ただ、当初は山下智久が演じる西園寺が、丸いものが好きでつき合うようになったという設定があったのに、そのあたりはほとんど描かれずに進んでしまっている。まあ、テレビドラマとしてはあまり好ましくない設定だったのかもしれないけど、2人の関係がもっとドラマの中の面白いアクセントになると思っていたので、ちょっともったいない使い方になった。
 

作品全体としても、香取慎吾と山下智久の共演ということで、かなり話題になっていたが、オリジナリティーがほとんどないので、これまたもったいない仕上がりになっている。ヒットしたドラマのフォーマットに当てはめるのではなくて、もっと2人の良さを引き出すようなテイストにしたほうがよかったと思うんだけど……。とはいっても、4話まで2ケタをキープしている作品なので、後半は2人のキャラクターの背景をもっと掘り下げて、『MONSTERS』というタイトルにふさわしい内容になることに期待したい。


そして、リサーチの結果、16位という下位にランキングされたのが米倉涼子。しかし、その主演作『ドクターX~外科医・大門未知子~』は、『相棒』も超える視聴率をキープしている。『相棒』は初回19.9%のあと、徐々に下がって4・5話では15%台。これに対して、『ドクターX』は初回18.6%のあと、2・3話でも17%台にとどまっている。米倉涼子はよくも悪くもこれまでと同じ米倉涼子だが、やはりスーパードクターものは、何度やっても強いということか。
 

最近のスーパードクターものでは、坂口憲二が主演した『医龍』が記憶に新しい。その『医龍』と『ドクターX』が違うのは、仲間を作らないという点。麻酔医の城之内(内田有紀)の腕は信用しているが、『医龍』における朝田(坂口憲二)と荒瀬(阿部サダヲ)のようにはならない感じだ。

主人公の大門(米倉涼子)には危険な要素もあるので、今後はどうなるか分からない。でも、作品の個性でもあるので、まわりが大門を認めても、大門は最後まで一匹狼を通すような気がする。それにしても、まさかこの作品が視聴率のトップにおどり出るとは……。「私、失敗しないので」という大門の決めゼリフが、なんだが別の意味にも聞こえてくる。

たなか・まこと  フリーライター。ドラマ好き。某情報誌で、約10年間ドラマのコラムを連載していた。ドラマに関しては、『あぶない刑事20年SCRAPBOOK(日本テレビ)』『筒井康隆の仕事大研究(洋泉社)』などでも執筆している。一番好きなドラマは、山田太一の『男たちの旅路』。