ママゴト 1
松田洋子
エンターブレイン





 


今年9月に1巻が発売された、松田洋子のマンガ作品「ママゴト」が話題だ。ネットより、お硬い紙媒体での評価が高い。朝日新聞にも書評が載っていた位だ(しかし新聞でマンガ評を見て、マンガ買う大人って、どのくらいいるんだろう?)。

私は以前から松田洋子作品のファンだ。北朝鮮などヤバめなことをネタにしたり、過剰な貧乏をネタにしたり、“お好きな人は好きな”漫画家さんであった。しかし「ママゴト」は違う。とっても分かりやすく、誰もが泣ける作品なのである。

「ママゴト」は、だいたいこんなあらすじだ。

恵まれない貧困家庭に育った主人公・映子。家庭に耐えられず家出、寮暮らしの風俗嬢になる。誰の子供か分からない子供を妊娠してしまうが、「幸福な家庭」への渇望のため、産んでしまう。しかし自分の過失で、あっというまに乳児を亡くす。それから20年後、スナックのママになっている、アラフォーの映子。家庭的なことは何も出来ない。そこに風俗嬢時代の同僚が来て、5歳の息子を置いて逃げる。捨てられた自覚もない、素直な少年・タイジと、映子との奇妙な親子ごっこがはじまる。

「守ってあげたいお姫様 だっておばちゃんかわいいけ」と、タイジは映子に、メロメロになるような言葉を連発する。

「『育つ』ってなんよ? うちは自分だって もういい年こいてるのに 自分は育ったような気がしとらん」

映子が吐く台詞が、いちいち胸に刺さる。私は、映子と同じ、子なしアラフォーなので、とくに刺さる。私も(多くの大人と同様に)大人になれた気がしていない。いつまでも満たされないままだ。

楽しそうな子供連れにに遭遇するたび、複雑な気持ちになったりもする。ファミレスで騒いでる子供に、過剰にイライラしたり、逆に、電車の中で目が合った乳児の瞳に、神々しさを感じることもある。

物語には、これまた孤独な女子小学生・アペンタエも登場する。アペンタエもタイジに癒され、タイジの疑似「おねえさん」となり、映子と少年の「親子ごっこ」に参加する。

だからこれは、精神的には「少女」な「大人」と、本当の「少女」が、「少年」を救い、救われるストーリーだ。彼らは幸福になれるのか。「ママゴト」を続けていくうちに、本当の家族になれるのか。多分、悲劇で終わるのだろう。でもそうでない結末があってもいい、そう思う。

ネタバレになるからこれ以上は控えるが、本当に泣けるセリフだらけだ。4ページに1回くらいは泣ける。

そうやって、毎月の連載を楽しみに読んでいる……ちなみに一切の家事が出来ず、食器すら家に置いていなかった映子は、カレーを作れるまでには進歩した。2巻発売までには、どこまで「母」になるのだろうか?