宝塚歌劇星組『宝塚ジャポニズム~序破急~』 撮影:三上富之 宝塚歌劇星組『宝塚ジャポニズム~序破急~』 撮影:三上富之

舞踊『宝塚ジャポニズム~序破急~』、ミュージカル『めぐり会いは再び2nd~Star Bride~』、レビュー『Etoile de TAKARAZUKA(エトワール ド タカラヅカ)』の3本立てで贈る宝塚歌劇星組公演が11月16日、兵庫・宝塚大劇場で幕を開けた。

宝塚歌劇星組『宝塚ジャポニズム~序破急~』のチケット情報

第1幕の舞踊は、能楽の基礎である「序破急」をテーマにしたショーで、序・破・急と約15分ずつで展開していく。「序」は1984年の初演からタカラヅカで受け継がれ、海外公演でも披露されてきた“桜のボレロ”。男役トップスター・柚希礼音(ゆずき・れおん)を中心に、桜の若衆に扮したスターたちが、桜の花びらをはらはらと散らしながらしっとりと舞う。そして次々と隊形を変化させながら、桜が咲き誇る中での総踊りへと展開する様は壮観。続く「破」では、“祈り”をテーマに、大日如来を中心とした仏たちの踊りが繰り広げられ、「急」では、迫力ある立ち回りを絡めての場面構成。全体を通して、繊細で美しい和の魅力を改めて感じさせてくれるとともに、宝塚でしか表現し得ない和物の群舞に圧倒される。

第2幕のミュージカルは、昨年上演された『めぐり会いは再び』の続編。花婿選びの騒動を描いた前作から1年後、柚希演じる貴族の青年ドラントと、夢咲(ゆめさき)ねね演じる婚約者・シルヴィアの結婚前夜の様子が描かれる。互いに想い合いながらも素直になれないふたりは、些細なことで衝突。そんな彼らを見かねた周りの仲間や家族たちがひと芝居をうつことに……。前回同様、少女漫画のラブコメ仕立てのストーリーやキャラクター設定で気軽に楽しめる。それぞれコミカルで漫画チックな演技も微笑ましく、心和む作品だ。

そして第3幕のレビューは、フランス語で「星」を意味する「Etoile」がタイトルにつけられているように、星をイメージした宝塚らしいステージ。柚希が輝く星のように大階段に浮かび上がり、柚希を中心とした黒燕尾のボレロが展開。スター総出の“ザ・タカラヅカ”なプロローグに心が踊る。続いて、12星座をイメージしたシーンが繰り広げられていく。柚希と夢咲のデュエットで魅せるおひつじ座からスタートし、真風涼帆(まかぜ・すずほ)を中心にクールに踊るおうし座、身体の半分が男、半分は女の衣装をまとった紅ゆずるが声のトーンを変えながら歌い、客席の笑いを誘うふたご座……とバリエーション豊かな演出で見せていく。きらめくステージの中で、星にまつわる宝塚のショーナンバーを歌い継いでいくレビューもあり、テンポの良い展開に惹き込まれているうちにフィナーレを迎える。公演前に柚希が「ここまで宝塚らしい作品は初めて」と語っていたように、2013年の台湾公演を見据えた本公演は、“宝塚歌劇”がじっくりと味わえる内容に仕上がっている。

兵庫・宝塚大劇場公演は12月15日(土)まで上演。その後、2013年1月2日(水)から2月10日(日)まで、東京宝塚大劇場にて上演。こちらのチケットは12月2日(日)より一般発売。

取材・文:黒石悦子