Wi-Fiタブレットの選び方――スペックや価格より「体験」重視で!

2012.11.23 12:15配信

アップルは、従来のiPadより小型の7.9インチディスプレイを搭載した「iPad mini」のWi-Fiモデルを11月2日に発売した。予約せずに購入できる店が多いこともあって、売れ行きは好調だ。ASUSの7インチタブレット「Nexus 7」も売れている。Androidベースの7インチタブレット「Kindle Fire HD」も12月に発売予定。新OS「Windows 8」の特徴を生かして、キーボード部分を取り外すとタブレット端末として使えるノートPCもいくつか発表されている。OSや画面サイズのバリエーションが増え、これまでアップルのiPadがほぼ独占していた「タブレット」の選択肢が増えてきた。

タブレット端末は、SIMカードスロットを備え、スマートフォンと同じようにモバイルデータ通信(3G/LTE/WiMAX)を利用して、いつでもどこでもインターネットに接続できる通信機能つきモデル(セルラーモデル)と、無線LANだけに対応するWi-Fiモデルの2タイプに分かれる。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、2012年1月から10月まで累計では、Wi-Fiモデルがタブレット端末の総販売台数の83.6%を占め、セルラーモデルは16.4%にとどまる。ソフトバンクモバイルとKDDIの2社が取り扱う「iPad mini」と「第4世代iPad」のWi-Fi + Cellularモデルが発売されると、セルラーモデルの比率が若干高まるかもしれないが、Wi-Fiモデル中心の売れ筋が激変するとは考えにくい。テザリング対応スマートフォンと組み合わせて使えば、Wi-Fiオンリーのタブレット端末でも、外出先でインターネットを利用できるからだ。

2010年1月の初代iPad(第1世代iPad)の発表から、もうすぐ3年。その間に普及が進んだスマートフォンとの使い分けとして、「タブレット」は主に「ウチの中で使うもの」というイメージが定着しつつある。そこで今回は、自宅内での使用を前提に、最新の販売動向と選び方のポイントを紹介しよう。

●長く使うなら「価格」で選んではダメ! サイズとOSで絞り込もう

パソコン代わりに使い倒すつもりなら、まず「価格で選ぶ」という考えは捨てたほうがいい。ストレージとして、HDDではなくフラッシュメモリを採用したタブレット端末は、一般的なHDD搭載パソコンのように使っているうちに起動が遅くなる心配はないが、パソコン同様、CPUやメモリ容量によって処理スピードが変わる。できれば購入前に実機に触れて、画面の見やすさやタッチ操作のスムーズさなどを確認しよう。

選び方として、OS、画面サイズの順に決めるパターンと、その逆のパターンが考えられる。OSの選択肢は、アップルの「iOS」、ASUSやソニー、日本エイサーなど、多くのメーカーが採用しているGoogleの「Android」、マイクロソフトの「Windows 8/Windows RT」の三つ。現時点では、スマートフォンと共通の「iOS」か「Android」を搭載した機種から選んだほうが、アプリの種類や「使いこなしテクニック」といった情報が多くて便利だろう。今年10月にリリースされたばかりの「Windows 8/Windows RT」は、評価が定まるまで待ったほうが無難だ。ただし、パソコン用OSでのWindowsのシェアの高さから、近い将来は伸びるとされていることも付言しておく。

画面サイズは、スマートフォンと同程度の「5インチ未満」、電子書籍の閲覧やデジタル手帳に適したサイズとして注目度が高まっている7インチを含む「5インチ以上8インチ未満」、当初は多数派を占めていた「8インチ以上」に分かれる。「8インチ以上」は、iPadのサイズである9.7インチ、Androidタブレットに多い10.1インチ、ノートPC並の12インチなど、さらに細かく分かれる。同じ7インチ台でも、7インチの「Nexus 7」と7.9インチの「iPad mini」では、ほぼひと回りサイズが違うといっていい。「iPad mini」は、四捨五入して8インチとみなしたほうがいいかもしれない。

サイズを絞り込むときには、「厚さ」と「重さ」もあわせてチェックしよう。見た目が薄く、一見、軽そうに見えても、中身が詰まっているために、持つとかなり重いという製品もあって、スペックだけではわかりにくい。また、片手で操作したいなら、実際に自分の手で持てるかどうかを確認しよう。もっとも、画面サイズが大きく、若干、重みのあるタブレット端末は、ソファーや座椅子などに座って、ゆったりとした姿勢で膝の上に抱えて使うスタイルがいちばん使いやすい。「8インチ以上」の大画面モデルの場合、片手ではなく、両手持ちが基本になる。

●iCloudが便利なiPadと、価格の安さと高い自由度が魅力のAndroidタブレット

iOS搭載タブレットは、これまで9.7インチのiPadと、「BCNランキング」では携帯オーディオプレーヤーに分類している3.5インチのiPod touchしか選択肢がなかったが、スマートフォンのiPhoneのモデルチェンジに合わせてiPod touchも4.0インチに大型化し、カラーバリエーションは従来の2色から5色(Apple Store限定の「(PRODUCT)RED」を含めると6色)に増えた。さらに、従来のiPadに比べてぐんと軽く、価格も安い新モデル「iPad mini」が加わった。「iTunes Store」など、日頃からアップルのサービスを活用してApple IDを保有しているなら、あえてAndroid搭載タブレットを選ぶ理由はないだろう。「フォトストリーム」や「iMessage」、アプリの自動ダウンロードなど、アップル独自のクラウドサービス「iCloud」を利用したiOS端末同士の連携機能はとにかく便利だ。

一方、Android搭載タブレットのメリットは、なんといっても価格の安さ。防水やスピーカー、サウンド性能の強化など、メーカー独自の工夫が光る。NFC(近距離無線通信)など、新技術の取り込みも早い。平均単価は全体的に安く、パソコン同様、発売から日が経つと値下がり、モデルチェンジ直前なら通常よりかなり安く購入できる。ただし、あまりにも安い機種はOSのバージョンが古く、最新OSにアップデートできない場合もあるので注意しよう。Androidのもう一つの魅力は、頻繁なOSアップデートと、それに伴う機能の進化。例えば、現時点の最新バージョンであるAndroid 4.2は、1台の端末で複数のユーザーを切り替えて利用できる「マルチユーザー」機能に対応している。カスタマイズ性の高いAndroidならではの利便性を満喫したいなら、最新OSへのアップデートを長期間サポートする機種を選びたい。

一人で使うだけではなく、複数人で同時に眺めたり、のぞき込んだりできるタブレット端末は、利用するアプリやサービスによって、インターネット、メール・メッセージ、ゲーム、テレビ電話、写真やビデオの撮影・加工、音楽制作、プレゼンテーションなど、さまざまな用途で活用できる。実際のところ、インターネット、Twitter、YouTube動画の閲覧など、有名なネットサービスやアプリを利用するだけなら、どちらのOSでもあまり違いはない。

「OS」も「サイズ」も決められずに迷ったら、「タブレットで何がしたいのか」を考えよう。もし、起動の遅いパソコンの代わりに使いたいなら、画面が見やすく、タッチ操作がしやすい機種を選べばいい。そうなると、第一候補は、iOSなら2048×1536ピクセルの「Retinaディスプレイ」を搭載し、スペック向上で処理スピードも速くなった「第4世代iPad Retinaディスプレイモデル」、Androidなら2560×1600ピクセルのHD液晶ディスプレイやAndroid 4.2、NFCなどを搭載した「Nexus 10」(日本では発売延期、発売日未定)になるだろう。ケースなどを装着せずに、お風呂やキッチンなどの水濡れの可能性がある場所で使いたいなら、選択肢は国内メーカー製の防水対応モデルしかない。

ある程度機種を絞り込んだら、実機に触って、タブレットならではの操作性を体験しよう。そのうち、一番「しっくり」と心地よく感じた機種がベストな1台だ。逆に、どれも使いにくい、機能の割に価格が高いと思うようなら、タブレットではなく、従来のマウスとキーボードで操作するパソコンをオススメしたい。タブレット選びの最大のポイントは、最初から「タブレット」に限定せず、スマートフォン、ブラウザ機能を搭載した電子書籍リーダー、パソコン、インターネット対応テレビなど、幅広い選択肢のなかで比較・検討することだ。(BCN・嵯峨野 芙美)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。

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