スマホ市場の変遷を振り返る

BCNは9月28日、全国の家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」をもとに、「実売速報! iPhone 8/8 Plusの売上初速──過去モデルとの出足比較と今後の展望」と題した報道関係者向け説明会を開催した。プレゼンテーションした道越一郎チーフエグゼクティブアナリストは、年単位や累計など長期間のデータをもとに、ここ数年のスマートフォン市場を振り返り、iPhoneの黄金期は2013~14年であり、今年は、発売予定の「iPhone X(テン)」を含めても発売直後の初速は昨年に及ばず、Appleの17年の年間販売台数も前年並みにとどまるとの見方を示した。

急拡大から一転、スマホ全体は13年から、Appleは15年以降伸び悩む

スマートフォンの販売台数は11年、12年の2年間に大幅に伸び、13年以降は鈍化している。11年は販売台数前年比263.1%、12年は同145.2%の大幅増を記録。しかし、13年は98.4%にとどまり、14年以降は100.7~102.0%と、ほぼ前年並みで推移している。普及期は、戦国時代の様相を呈していたメーカー別のシェア争いも、13年以降は寡占化が進み、Appleとその他という構造に落ち着いている。

「初速」と呼ぶ、発売直後のiPhoneの販売台数は年々減少し、今年は「iPhone 4」以降では最も少なかった。「BCNランキング」の集計対象店舗は家電量販店のリアル店舗とオンラインショップのみで、キャリアショップは含んでいない。販売チャネルの変化も、数字の変動に若干影響していると思われるものの、「iPhone 8/8 Plus/Xから急に変わったわけではない」と話した。

デジタル家電市場は全体的に復調傾向 ミラーレス一眼が拡大

スマートフォンに続き、有機ELテレビを含めた薄型テレビ、デジタルカメラ、PCの今春以降の販売動向について解説した。注目の動きとして、レンズ一体型デジタルカメラ(コンパクトデジタルカメラ)の販売金額が25か月ぶりに前年同月を上回り、底打ちの兆しがみえてきたと、さらなる回復への期待を込めて語った。

また、レンズ交換型は、コンパクトなミラーレス一眼タイプの比率が今年7月、8月と2か月連続で5割を超え、「評価が定まってきた」と話し、カメラ全般の単価アップや市場構造の変化がプラスに働いていると分析した。

一時の深刻な販売不振から脱却したPC本体や、4K対応機種が伸びている薄型テレビをはじめ、クロモノ市場が活性化しているなか、初速の数値をもとに今後の売れ行きを予測すると、新iPhoneは、現在、発表済みの3機種では、前年超えは難しいとみるが、「iPhone SE」の後継機種が出るなど、新モデルのラインアップが4機種に増えた場合はわからない、前年を超える可能性もある、と締めくくった。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。