ほとんど非の打ち所のない本作だが、不満点もないわけではない。まず、3D化されたキャラグラフィックだ。レイトン側のキャラクターはもともとのっぺりした造形なので3Dにしてもそれほどおかしくないのだが、逆転裁判のキャラクター、とりわけ成歩堂のグラフィックには違和感を覚えてしまう。もとがアニメ調だからだろうか……慣れの問題ではあるが、最初はやや抵抗があった。

加えて、逆転裁判側の声優もちょっとイメージに合わない。成歩堂は俳優の成宮寛貴、真宵は桐谷美玲がそれぞれ声を担当しているのだが、なんというか……うーん、やっぱり本職の声優の方がよかったかなという出来だ。この二人は実写版映画「逆転裁判」で同じ役を演じているのでそこからの流れなのだろうけど、実写とゲームはやはり別物だと痛感した。それを言い出すとレイトンとルークも大泉洋と堀北真希なのだが、こちらは最初から演じているキャリアもあってか問題はない。もし今後もこのまま逆転裁判シリーズに声があてられるのであれば、主役二人にはぜひさらなる上達を期待したいところだ。

とまあ不満点も多少はあれど、全体としては両作品のファンが満足できる良作に仕上がっていると思う。ボリュームもクリアまで30時間を想定しているとのことで、アドベンチャーとは思えないほどの物量だ。現代のアドベンチャーゲーム業界の2TOPを張る2つの作品がコラボしたお祭り作品。仕上がりも上々であることだし、ファンならずとも乗らない手はないだろう。

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レイトン教授VS逆転裁判 公式サイト [ http://www.layton-vs-gyakuten.jp/ ]

やまだい・ゆうき 映画、漫画、ゲームなどエンターテインメント関連の記事を中心に執筆するフリーライター。飲料では特にコーヒーとカフェオレをこよなく愛しており、これまでに数百もの缶コーヒーの感想を記録している。ブログ