三菱電機の「ZITANG RG-GS1」

冷蔵庫や炊飯器と並んでキッチン家電の必需品になったオーブンレンジ。一人暮らしをはじめとする少人数世帯で使っている人も増えてきた。そんなオーブンレンジの最新のトレンドが、調理時間を短縮する時短調理機能だ。三菱電機のオーブンレンジ「ZITANG」は、その名の通り時短調理機能に力を入れたオーブンレンジ。11月1日発売の最新機種「RG-GS1」の実力をチェックした。

●グリル機能と熱効率を最適化したコンパクトな庫内ですばやく加熱

「ZITANG」シリーズの注目の機能は「レンジグリル」機能だ。一般的なオーブンレンジのオーブン機能は、庫内の温度を高め、熱によって食材を加熱・調理する。一方、「ZITANG」が採用するグリル機能は、熱源からの熱(放射伝熱)によって、直接食材を焼き上げる。「ZITANG」は、レンジによる加熱機能とグリルによる焼く機能を連続して設定できる「自動リレー調理」機能を搭載。食材の内部はレンジで加熱し、表面はグリルで焼くことで、短時間でしっかりと食材に火を通ることができるのだ。

形状も特徴の一つ。一般的なオーブンレンジよりも明らかに低い高さ266mmの薄型ボディを採用。奥にぴったりと付けることができるので、スペースの限られたキッチン棚にも納まる。庫内容量は13Lで、庫内の上下にヒーターを埋め込んだほか、奥に直径75mmの大型コンベクションファンを設置。三つのヒーターで効率よく庫内と食材を加熱する。

操作は、本体右側のモードボタンと円形に配置した時間設定ボタンで行う。使用頻度の高いレンジ機能や、レンジ→グリル機能がそれぞれボタンが分かれていて、複数回押すだけで自動(調理)、手動、再加熱などが選択でき、いちいちマニュアルを見なくても直感的に操作できる。ボタンやブラック液晶の画面表示は大きく、操作に悩むことはほとんどなかった。

●【1日目】新搭載のカレー機能で「簡単カレー」をつくる

「RG-GS1」は、新たにヘルシー調理メニューを追加している。その一つが、「鶏とたっぷり野菜の簡単カレー」だ。カットした食材と調味料を耐熱容器に入れて、「レンジ→グリル」ボタンを押して時間を設定するだけ。約18分後にはカレーが完成した。

でき上がってすぐは、表面が焼けて水分が耐熱容器の下に溜まっているので、それを混ぜ合わせる。すると、野菜から出た水分でカレーらしいトロリとした柔らかさになった。食感は、野菜が多く、ラタトゥイユ風カレーといった趣。家族には非常に好評だった。

さらに、個人的にはパサパサした鶏胸肉が嫌いでふだんは食べないのだが、このカレーの胸肉は非常にジューシーで柔らかく、その食感に驚かされた。このでき上がりの違いは、「レンジ→グリル」で短い時間で加熱したことで鶏胸肉の肉汁を閉じ込めたまま、調理ができたおかげだろう。レシピは3人分だったが、大人4人でも十分な量ができた。

●【2日目】忙しい日こそ時短メニューを活用する

翌日は、昼食で「RG-GS1」を利用した。つくったのは、新メニューの「ぱらっとチャーハン」だ。炊飯器に残っていたごはんと、みじん切りにした野菜やハムなどをボールで混ぜ合わせる。付属のセラミックの角皿にクッキングシートを敷き、ボールの中身を乗せてスイッチを入れるだけ。約10分でパラパラのチャーハンができ上がった。フライパンを使わないので、洗い物が増えないのもうれしい。

夜はちょっとサボってできあいの揚げ物をテイクアウト。「RG-GS1」の「レンジ→グリル」の温め直し機能を使った。ここでは角皿の上に付属の網を置き、トンカツ2枚とコロッケを乗せ、「温め直し」モードでレンジ2分、グリル5分にセット。すると、トンカツは中まで温かくしっとりと、そして表面はカリッとした食感にできた。なお、「再加熱」モードでも同じように仕上がる。

オーブンやレンジで温めると、より長い時間がかかったり、オーブンだけでは表面が堅くなってしまったり、レンジでは油がついてべちゃっとしてしまったりする。しかし「RG-GS1」は、短時間でよりおいしく温め直しができるのだ。

●【3日目】パンや本格的な肉料理もしっかりできる

そしてお休みの日。朝から「RG-GS1」を活用した。まず遅めの朝食用につくったのが、ロールパンとフォカッチャ。庫内容量の小さな「RG-GS1」だが、本格的なパン焼きもできる。大型のオーブンレンジのように2段調理はできず、また背の高いシフォンケーキは焼けないが、一般的なパンづくりなら十分楽しむことができる。フォカッチャは角皿いっぱいに、ロールパンは一度に9個まで焼くことができた。しかも庫内加熱が早いので、オーブンのような余熱は不要。発酵時間を除けば、20分を切る早さで焼き上がった。

そして最後に本格的な肉料理に挑戦した。つくったのは、ローストポークとスペアリブ。ローストポークは豚のロース肉に塩をして、ハーブの上に置いて焼くだけのシンプル料理だ。またスペアリブは、味つけ液に15分ほど漬けておいた豚のあばら肉を焼く料理だ。

ともに「レンジ→グリル」機能で焼くことで中まで火が通り、しかも表面に焦げ目がつく。よぶんな脂も落ち、短時間ででき上がった。特にローストポークは、オーブンで焼くと中まで火を通すために表面を焼きすぎてガリガリになってしまうことが多いが、「RG-GS1」では表面もちょうどよい香ばしさがキープできた。

短時間で簡単に調理できるのに、見ばえもボリュームも満点。「RG-GS1」ではそんな調理が楽しめた。

●2世代目で使い勝手が向上。少人数世帯には最適なオーブンレンジ

数日間「RG-GS1」を使って、その実力の高さに改めて驚かされた。まず、オーブンレンジで最も使用頻度が高いのは「レンジ」機能だ。「RG-GS1」はこのレンジ機能が非常に使いやすい。そして、「RG-GS1」ならではの「レンジ→グリル」の自動リレー調理。レンジで食材を中まで加熱したあと、グリルで表面に焼き目をつける。この組み合わせで、短時間でさまざまな料理がおいしくできあがる。

「RG-GS1」は、共働きの夫婦や単身男性から料理に火を使うのがちょっと怖い高齢者世帯まで、幅広い層にオススメできるレンジグリルだ。2世代目になって、調理にかかる時間が前モデルより短かくなったほか、付属の網がセラミック角皿の上にフィットするようになった点など、細かな進化もみられる。

「RG-GS1」は短時間調理とおいしさの両方をコンパクトボディに詰め込んだ実力派だ。(デジタル&家電ライター/コヤマタカヒロ)