12月22日以降に発売予定の「ASUS TAICHI」

「Windows 8」搭載のPCが続々と発表・発売されるなか、ラインアップが増えているウルトラブック。薄く、軽く、起動が速いだけでなく、液晶が回転するコンバーチブルモデルやキーボードが着脱できるモデルなど、「トランスフォーマ・モデル」が注目を集めている。

ASUSTeK Computer(ASUS)が、変わり種のウルトラブック「ASUS TAICHI」を12月に発売する。正面からみると11.6型ワイド液晶を備えた普通のウルトラブックだ。しかし後ろに回ると、天版にも11.6型ワイドの液晶がある。つまり、表裏ともディスプレイになったノートPCなのだ。

表裏のディスプレイは、11.6型ワイドIPS液晶。表はタッチ非対応のノングレアパネル、裏は10点マルチタッチ対応のグレアパネルだ。つまり、タッチ操作ができるのは天板の一面だけ。なお、以後は表をディスプレイ、裏をタッチパネルとする。

PCを起動するとデスクトップ画面がディスプレイに表示される。そのままディスプレイを閉じると、自動でディスプレイからタッチパネルに切り替わる。つまり、開けばノートPC、閉じればタブレットになるというわけだ。しかし、このままだとどちらか一画面しか表示されない。これではデュアル画面の意味がない。

表示は、キーボード右上の「TAICHI」ボタンで切り替える。「TAICHI=太極」をイメージしただけあって、「TAICHI」ボタンは中国・易学の陰陽魚太極図を四角くしたようなデザインだ。モードは、ディスプレイ・オン/タッチパネル・オフの「ノートパソコンモード」、ディスプレイ・オフ/タッチパネル・オンの「タブレットモード」のほか、両画面に表示するモードが二つある。

「ミラーモード」は、それぞれに同じ画面を表示。また、マウスポイントの動きや操作内容が反映されるので、対面の人と情報を共有するときに便利だ。

もう一つが、異なる画面を表示する「デュアルモード」だ。例えば、ディスプレイにエクセルを表示し、タッチパネルは動画を再生表示するといった使い方ができる。では、両方が別々の操作をしたらどうなるのだろうか。

ディスプレイはマウスパッドで、タッチパネルは指のタッチでマウスポイントを同時に動かしたところ、ややポイントに乱れが出た。どうやら反対側の操作に多少引きずられるようだ。片方が操作しているときは、もう片方はじっと待っていたほうがいい。

もう一つ試してみよう。二つの画面に別の動画を表示したらどうなるのだろうか。ハイビジョンのデータ容量の大きい動画を同時に再生できるのだろうか。ワクワクしてASUSの広報スタッフに訪ねたところ、CPUにCore i7-3517Uを搭載しているので、処理性能的には可能だという。が、とても残念そうな顔で「音声出力が1系統しかありません。動画の表示はできますが、音声がちょっと……」と言われてしまった。スピーカーからはどちらか一つの音しか鳴らない。もっとも、一つのスピーカーから別の音が同時に流れてきたら聞き取りにくくてしかたないだろう。

新しい使い方を提案する「ASUS TAICHI」。対面の打ち合わせに活用してもいいし、暴れん坊の子どもをおとなしくさせるために、タッチパネルに動画を表示して、反対側で仕事をしていてもいいかもしれない。ああ、でもうちの甥っ子はタッチパネルに触って仕事のじゃまをするかも……。さて、あなたならこのデュアルスクリーンをどう使う?(BCN・山下彰子)