ももいろクローバーZ ――もはやアイドルという枠を追い越してしまった

 


まずはトップバッターのももいろクローバーZ。「ぴ」ブロックの中ほどでライブ待機しているときから、「ここ、ももクロのワンマン会場!?」とカン違いするほどのサイリウムの量&異様な熱気が渦巻いてます。自分がももクロのライブを見るのは、昨年の「ももいろクリスマス」@さいたまスーパーアリーナ以来約1年ぶりだったのですが、1年前に比べてずいぶん印象が変わった気がしました。王道のアイドルに対するカウンター的存在だったももクロが、もはやアイドルという枠を追い越してしまったような気がしたのです(今さらかと言われそうですが)。
 

一般的にも知名度が高い曲のひとつである『行くぜっ!怪盗少女』をセトリから外し、中盤にバラード挿入&『コノウタ』でシメという「これ、ももクロのワンマン!?」とカン違いするほどひとつのライブとしてきちんと構成された内容は、“いまのももクロをしっかりと伝えたい”という5人の思いを感じるものでした。アクロバティックかつトリッキーな魅力を押し出していく季節に別れを告げ、ど真ん中へと突き進んでいこうとする5人の前傾姿勢、そんなももクロをさらなる前のめりで後押しするファン。そんなメンバーとモノノフたちの幸福な蜜月関係も、1年前よりさらに強固になっていました。
 

なによりすごいのが、ももクロ5人のパフォーマンス自体は、基本大きく変わってはいないということ。この日披露した高速自己紹介も初見の人は完全にポカーンだったと思うんですが、「今日は曲をたくさんやりたいから自己紹介は短くする」という極めてシンプルな理由を尊重し、自分たちのやりたいこと/伝えたいことを曲げずに貫き通す。そんなももクロの戦い方に改めて心打たれた50分でした。そして、ももいろクローバーZのライブで幕を開けたこの日のイベントの間、すばらしいアーティストによるステージを見るたびに、「自分のやり方でどうやって戦うのか」というテーマを、何度も思い出すことになるのでした。
 

最新シングル『サラバ、愛しき悲しみたちよ』
Amazonで購入

さて、ももクロは今年もクリスマスにライブを開催。12月24日(月・祝)・25日(火)にさいたまスーパーアリーナに登場します。チケットを取るのはかなりむずかしいと思いますが、チャレンジする価値アリですよ。そして結成以来の目標だった紅白歌合戦への出場がついに決定! ももクリに行けない人はテレビの前で晴れ舞台を応援しましょう。

<SETLIST> 1.Z女戦争 2.DNA狂詩曲 3.D'の純情 4.サラバ、愛しき悲しみたちよ 5.オレンジノート 6.白い風 7.労働讃歌 8.猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」 9.コノウタ