マキシマム ザ ホルモン ――爆発する人間の業が生むカオスな熱狂

 

スペシャル・シークレットゲスト、ケイン・コスギによる奇跡のコール・アンド・レスポンス [http://ure.pia.co.jp/articles/-/10824 ] を挟んで登場したのは、マキシマム ザ ホルモン。例えば、『恋のスウィート糞メリケン』の「♪Sweet Sweet 糞メリケン~」というサビ、実際本当にスウィートな気分になってしまうキャッチーなメロなんですが、いかんせん「糞メリケン」というワードがノドの奥に引っかかってチクチク痛い。『鬱くしき人々のうた』では小ボネのチクチクレベルでは済まされない、心の深くに救う闇へと引きずり込まれていきます。
 

彼らの音楽に向き合うとき、自分は必ずどこかに「痛み」を伴っている気がします。ただ気持ちいい、ただ盛り上がれる。自分にとってマキシマム ザ ホルモンの音楽はそういうものではありません。自分の嫌な部分や他人の嫌な部分、できれば目を背けたままでいたいものを力づくで引きずり出し、そこに光をあて、轟音に乗せて叫ぶ。これが彼らの戦い方で、そんな音楽がおおぜいの観衆に熱狂で迎えられている光景を見ると、いつも無性にゾクゾクしてしまうんです。うわー公共の場で人間の本性がここまでむき出しになっちゃっていいのかと、どこか背徳的な気分にもなったり。
 

そんな濃密な演奏とは対照的に、一気にメンバーに親しみを覚えてしまうのがMCです。立派なモノノフとして「ナヲ~↑」コールもバッチリ決め名人芸級に安定した話術を披露するナヲと、リポビタンDの一気飲みも辞さないダイスケはんのコンビネーションは、もはや鉄板。演奏もMCもとにかく濃ゆい世界観をぶつけてくるという意味では同じなのですが、どちらも投げっぱなしなんじゃなくて、「観客を盛り上げる」という命題を必ず果たすのが彼らのすごさです。あれだけ業の深い楽曲を連打しながら、最後には『恋のメガラバ』で大団円を演出する。この見事なまでの落とし前のつけっぷりに、改めて戦慄させられたステージでした。
 

『鬱くしき人々のうた』収録のシングル『グレイテスト・ザ・ヒッツ 2011~2011』
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マキシマム ザ ホルモン年内ラストのステージは、星野 源も別日に登場する冬フェス「COUNTDOWN JAPAN 12/13」。彼らは12月29日(土)に一番大きいEARTH STAGEに登場します。公式HPでは演奏してほしい曲のリクエストも受付中なので、ぜひ投票してみては?

<SETLIST> 1.What’s up, people?! 2.「F」 3.maximum the hormone 4.恋のスウィート糞メリケン 5.チューチュー ラブリー ムニムニ ムラムラ プリンプリン ボロン ヌルル レロレロ 6.シミ 7.鬱くしき人々のうた 8.ロックンロール・チェーンソー 9.ぶっ生き返す!! 10.恋のメガラバ