なぜ政治家は権力にしがみつくのか?

折しも日本は衆議院議員総選挙のまっただなか。各政党の主張を見比べて、「投票したいと思う党がひとつもない……もっと国のために真剣になってくれる人はいないのか」と苛立つ人もいるだろう。しかし進化論の視点からみると、人は<政治の本質が権力闘争であるという基本的なことを見逃してい>ると言う。
 

<多くの人は、日本の政治がダメなのは政治家がだらしないからだと考えています。しかしこの問題は、ずっとやっかいです。私たちはみんな、権力への欲望を脳にプレインストールされて生まれてきます。外部から隔離された政治空間ではその本能が理性を失わせ、“サル性”が前面に出てしまうのです。(中略)私たちが「猿の惑星」に住んでいると思えば、日本の政治でなにが起きているのかをすっきり理解できるようになります――なんの慰めにもならないでしょうが。>
 

遺伝子は原則として「生き残ることを最優先」する。そのために権力を手に入れようとするのは、確かに自然な行いなのかもしれない。政治家のみなさんにはそんな欲望はさっさとアンインストールしてもらって、しっかり仕事してほしいところだが……。

 

いじめはヒトの本能が生み出すものなので、原理的に根絶できない

次に『学校はいじめを前提に成立している』という項を読んでみる。文科省はいじめの根絶を目指しているが、いじめをなくそうとすることは<子どもに人間でいることをやめろと言うのと同じ>である、と著者は言う。

ヒトは社会的な動物であるがゆえに、自然に集団を作り、仲間意識を高めていくようプログラミングされているのだそうだ。<集団が成立するためには、「仲間」と「敵」を区別する境界が必要です。この境界は、誰かを仲間に入れたり、仲間はずれにしたりすることで絶えず確認されます。こうした境界確認行動によって子どもたちは「共同体」をつくっていくのですが、このゲームがいまは「いじめ」と呼ばれる>。

つまり、“ヒトの本能である集団づくりとしての「いじめ」は、原理的に根絶できない”と結論づける。

「ウレぴあ総研」更新情報が受け取れます