『96時間/リベンジ』(C) 2012 EUROPACORP - M6 FILMS - GRIVE PRODUCTIONS

近年、映画界で増加の一途をたどるシリーズものやリメイク作品。新機軸を打ち出すもの、ファンの期待に十二分に応えるものなど様々だが、来る2013年の最新トレンドとは?

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スターのチャレンジ精神が試される作品。それはひょっとして、シリーズやリメイクかもしれない。シリーズものでは固定された役のイメージを進化させる努力と忍耐が必要だし、リメイクではオリジナル版の強烈な印象を自分の個性で上回らなくてはならない。2013年の公開作では、『96時間/リベンジ』のリーアム・ニーソンや、『ゴーストライダー2』のニコラス・ケイジあたりが前作のイメージを“素直に”受け継ぐ中、シフトチェンジを見せるのが『アイアンマン3』のロバート・ダウニー・Jr.だ。前2作のジョン・ファヴローに代わり、新たに監督を任されたシェーン・ブラック(ロバート主演の『キスキス,バンバン』を監督)が、リアルな悪役を登場させ、スリラー要素を濃厚に演出。トニー・スターク=アイアンマンの印象もシリアスに変革されている。また、シリーズものが立て続けなブルース・ウィリスも、その活躍ぶりが作品の仕上がりを左右しそうな存在だ。リメイク作品に主演するスターでは『キャリー』のクロエ・グレース・モレッツ、『華麗なるギャツビー』のレオナルド・ディカプリオに注目。映画ファンには唯一無二と言える前作のキャストと、どこまで違った存在感を発揮できるか。このふたりなら新鮮なアップデートが可能だろう。

シリーズやリメイクといえばヒーロー映画がさらに量産傾向にあるなか、ここ数年、クリストファー・ノーラン版の『バットマン』3部作や、『007 スカイフォール』などで明らかなように、前シリーズや前作、オリジナル版を激変させる試みが成功につながっている。2013年、この路線を受け継ぐのは、スーパーマンが主人公の『マン・オブ・スティール』か。同作はリメイクというより、リブート(再生)と呼ぶのがふさわしいが、ノーランが原案に関わっており、そのコスチュームが体現するようにリアル&ダークな新スーパーマンが完成されるのは間違いない。

もちろんシリーズやリメイクは、前作やオリジナル版の世界観を維持するのも大切で、『RED』や『ホビット』、『300〈スリーハンドレッド〉』、アニメ作品のようにヒット作の続編の場合、その傾向が顕著になるはず。また、『死霊のはらわた』のようにタイトルをそのまま引き継ぐカルトホラーは、オリジナルファンへの目配せに、現在の観客の心をつかむ新たな仕掛けのバランスに期待したい。

大革新で予想外の驚きを用意するのか、世界観をきっちり踏襲して期待に応えるのか。『マチェーテ』や『ハングオーバー』、『ギャンビット』(1966年の『泥棒貴族』のリメイク)など、どちらに転ぶか未知の新作も待機している。バラエティ豊かなシリーズ&リメイク作を楽しめる1年になるはず!

「ぴあ Movie Special 2012-2013」より 

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