劇団☆新感線 SHINKANSEN☆RX『ZIPANG PUNK~五右衛門ロックⅢ』  (C)田中亜紀 劇団☆新感線 SHINKANSEN☆RX『ZIPANG PUNK~五右衛門ロックⅢ』  (C)田中亜紀

古田新太が天下の大泥棒・石川五右衛門に扮する劇団☆新感線の人気シリーズ最新作『SHINKANSEN☆RX「ZIPANG PUNK~五右衛門ロックIII」』が、12月19日に東京・東急シアターオーブにて開幕した。出演はほかに三浦春馬、蒼井優ら。

劇団☆新感線 SHINKANSEN☆RX『ZIPANG PUNK~五右衛門ロックⅢ』チケット情報

もともとは「古田新太には石川五右衛門のヅラがよく似合う」という思い付きから始まったという今シリーズ。2008年、2010年公演に続いての第3弾だ。1作目では南の島、前作ではヨーロッパの小国を舞台に大冒険活劇を繰り広げた五右衛門だが、今回の舞台は初の日本。空海が開いた寺にある黄金目玉像という仏像を盗むも、それは金メッキのガラクタ。だが実はそれにこそ空海が残した莫大な埋蔵金の隠し場所が暗号として刻まれていた。そのお宝をめぐり女盗賊、盗賊目付、堺の悪徳商人、さらに天下人秀吉や、前作から五右衛門との因縁を引きずった南蛮人までも登場、怪しげな人々が入り乱れ、陰謀や復讐や恋が繰り広げられていく。

とにかくこれぞ劇団☆新感線、と手を叩きたくなる、派手で粋で、血湧き肉躍る舞台。轟音で鳴るロック、フライングなど派手な演出、さらにおバカ要素もてんこもりで、思いっきり笑って楽しめる。ちゃらんぽらんのようで決めるところはバシっと決める古田の五右衛門はもはや鉄板。ユニークな“五右衛門ヅラ”すら次第にカッコ良く見えてくるから不思議だ。また探偵的ポジションである盗賊目付、明智心九郎役の三浦春馬が、新感線初参戦とは思えぬハマりっぷり。ルックス良し歌良しダンス良しで、さらにコメディセンスも抜群。“ウザ爽やか”とでも呼ぼうか、彼ならではのキャラクター造形で百戦錬磨の新感線メンバーと渡り合っても一歩も引かないインパクトで、舞台人としてのセンスの高さを見せ付けた。蒼井優も映像で見せる印象とは180度違う、おきゃんな娘を好演。女盗賊・猫の目お銀をぴょんぴょん元気に飛び跳ねながらキュートに演じる。また三浦演じる心九郎と双璧をなすうっとおしさをかもすシャルル王太子を、ミュージカル界のプリンス・浦井健治が前作に続きハジけた演技で楽しげに演じれば、悪役ポジションで村井國夫&麿赤兒のベテランコンビがビシっと舞台を締める……と、キャスト陣の豪華さも他に類をみないほど。まさにお祭りのような舞台になっている。

新感線ではめずらしい、謎解き要素も加わった今回の作品。五右衛門らが挑む暗号解読に加え、男女の心の謎解きも物語の軸のひとつ。この部分を三浦と蒼井がしっかりと演じ、観劇後、熱狂の中にもほのかに爽やかな余韻を残させる。年末年始の忙しい間を縫っても観に行きたい、ジャパニーズ・エンターテインメントだ。

公演は1月27日(日)まで同劇場にて。その後2月6日(水)から28日(木)まで大阪・オリックス劇場(旧大阪厚生年金会館)でも上演される。チケットは発売中。

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