『おっぱいとだっこ』(PHP研究所)より転載

緊張の糸がプッツンしてしまう前に…完母ママにもいろんな選択肢があることを知ってほしい

――乳頭混乱は、母乳育児を続けてゆく上で避けたいことのひとつなので、参考になりました!しかも災害対策にもなるんですね!

竹中:この方法ならパパもおじいちゃんもおばあちゃんも、それこそ誰でも授乳のお世話ができます。

それに、赤ちゃんがコップから飲んでいる姿って、かわいいでしょ?(笑)

――たしかに(笑)。

コップやスプーンでの授乳ができるのであれば、たとえ完母であっても「ママじゃなきゃできない」こともなくなるワケで、赤ちゃんを預けたり、ママがひとりで外出するハードルが、ぐっと低くなりますね。

竹中:ママがストレスで潰れてしまっては大変ですし、もっと言えばママが幸せな気持ちで過ごせないのは、家族にとって、誰より赤ちゃんにとって悲しいことです。プッツンしてしまいそうなほど張り詰めてしまう前に、ぜひ“人の手”を借りてください。

赤ちゃんは相当頭のいい生きモノですが、生きモノを「ごまかす」のも生きモノ。繰り返しになりますが“人の手”が必要なんです。だから周りの皆さんも、ママや赤ちゃんのニーズに寄り添いながら“人の手”を貸してあげてくださいね。

――赤ちゃんを「ごまかす」というのは、それだけ聞くと不真面目なことのようにも感じてしまいますが、育児の長いスパンの中で考えると逆にプラスの意味を持ち得るんですね!加えて「カップ授乳」や「スプーン授乳」のような具体的な“智恵”があると、子育て中のママは助かりますね。

竹中:真面目過ぎちゃうママは、これを機に「ママ業の働き方改革」を。努力してぜひ「いいかげん」になってください(笑)

完母のママができるだけ母乳で育てたいと願うのは、ママの自分勝手ではありません。そして完母という道を選んだからといって、ママがお出かけをガマンしなければならないこともありません。実際には、いろんな選択肢があるんですよ~。

ママがひとりで背負い込んでしまうことなく“人の手”を借りながら、併せて具体的な“智恵”も活かしながら、笑顔で母乳育児ライフが送れることを祈っています。

でももし、それでも辛い時には【母乳110番】までお電話くださいね。先輩ママ相談員一同、お待ちしています。

■竹中 恭子(たけなか きょうこ)氏 プロフィール

母乳110番】代表・電話相談員。イラストレイター・ライター。1男1女の母。『おっぱいとだっこ』『おっぱいとごはん』『家族のための〈おっぱいとだっこ〉』の母乳育児3部作ほか、著書・共著多数。 『おっぱいとだっこ』は第9回ライターズネットワーク大賞受賞。2016年には電子化もされ、海外でも好評を博している(電子書籍版『おっぱいとだっこ』)。近年は水彩画家「武蔵野つきこ」として『授乳美人』作品シリーズも発表。 公式ブログも。

15の春から中国とのお付き合いが始まり、四半世紀を経た不惑+。かの国について文章を書いたり絵を描いたり、翻訳をしたり。ウレぴあ総研では宮澤佐江ちゃんの連載「ミラチャイ」開始時に取材構成を担当。産育休の後、インバウンド、とりわけメディカルツーリズムに携わる一方で育児ネタも発信。小学生+双子(保育園児)の母。