会見より。左から、三宅裕司、小倉久寛 撮影:引地信彦 会見より。左から、三宅裕司、小倉久寛 撮影:引地信彦

劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)第55回本公演『カジノ・シティをぶっとばせ!! ~丁半コマ揃いました~』が、10月13日に開幕した。その初日レポートをお届けする。

スーパー・エキセントリック・シアター チケット情報

演出と出演を務める三宅裕司を座長に、1979年の創立から“ミュージカル・アクション・コメディー”を旗印とし、「わかりやすくて誰もが楽しめる、サービス精神旺盛な舞台」をつくり続ける爆笑活劇集団・SET。その最新作の題材は「日本のカジノ」。

物語の舞台は、過疎化が進む京都の田舎町・梶野(かじの)町。京都市長の清水(三宅)は、町おこしのためにカジノの誘致合戦に参戦しようと、伏見(小倉久寛)ら友人に力を借り、反対派住民を説得。なんとか誘致プレゼンまでこぎつける。立候補地区の中で最も小規模でありながら、京都らしく日本文化をふんだんに取り入れたプレゼンによって、梶野町はまさかの勝利。だが実はこの誘致合戦の裏にはある陰謀が渦巻いていた――。

昨年12月に可決され現在進行形で展開する「カジノ法」と、それにまつわる出来事がまず頭に浮かぶストーリー。しかしそれだけにおさまらない、日本の現状が突きつけられるように反映された脚本は、三宅が座長を務める「熱海五郎一座」でも活躍する作家・吉高寿男が初めてSET作品を手掛けたもの。先が読めない展開に、リアルが絡む出来事、そして笑い、歌、ダンス、アクションもたっぷりという、娯楽作品でありながら社会的なテーマのあるSET作品ならではの面白さが堪能できる。

歌やダンス、アクションのクオリティの高さは毎回の見どころだが、今回は特に日本舞踊や日本らしい立ち回りが印象的。その中でも劇団員総出の群舞のシーンは迫力満点だ。また、今作では若手の見せ場が増加。三宅&小倉コンビによる息ピッタリのやりとりはもちろん健在だが、若手による新たな笑いのカタチも生み出されていた。その逆で、小倉ら年上メンバーが激しいアクションに積極的に参加する姿も見られるなど、38年という歴史を持つ劇団ならではの変化や進化、そして変わらぬ魅力が楽しめる作品となっている。

カーテンコールで三宅は「“ミュージカル・アクション・コメディー”というカタチをやりはじめて38年。いつまでこのカタチでやれるのかというところもありましたが、今日初日を終えてみますと、まだまだできそうだね(笑)。体力が続く限り、お客様に喜んでもらえる公演をつくりたいと思っています」と挨拶。小倉も「今、ホッとしています。お客様に支えていただき、これまでやってきました」と客席に笑顔を向けた。

公演は10月29日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて。

取材・文:中川實穂

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