左から、「Nikon 1 J1」「OLYMPUS PEN Lite E-PL3」「NEX-5N」

レンズ交換式デジタルカメラは、カメラらしい重量感のあるデザインのデジタル一眼レフカメラと、軽量・小型ボディで女性でも扱いやすい、いわゆる「ミラーレス一眼」の2タイプに分かれる。ミラーレス一眼は、レフレックスミラーがない構造で、軽くて小さい。デジタル一眼レフも小型・軽量化が進み、手に持ってみると意外に軽いと感じるだろう。今回は、家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」の2012年1月1日~12月24日のデータをもとに、デジタルカメラの一ジャンルとして定着したミラーレス一眼と、初心者向けからプロ向けまで、幅広い製品が出ているデジタル一眼レフカメラの年間ランキングを紹介しよう。なお、集計期間の関係上、すでに販売を終了しているモデルもあるので、あらかじめご了承いただきたい。

●ミラーレス一眼は上半期に売れた「Nikon 1 J1」がトップを守る

まずは、販売台数が大きく伸びて、レンズ交換式デジタルカメラの月間販売台数の5割前後を占めるほどに拡大した「ミラーレス一眼」からみていこう。カラーバリエーションや各レンズキットなどを合算したミラーレス一眼カメラのシリーズ別販売台数1位は、昨年10月発売のニコンの「Nikon 1 J1」だった。手頃な価格で人気を集め、上半期(1~6月)はシェア14.7%でダントツのトップを獲得。秋以降、売れ行きはやや衰えたが、そのままトップをキープした。

2位はオリンパスの「OLYMPUS PEN Lite E-PL3」、3位はソニーの「NEX-5N」だった。1位から5位までのモデルは、すべて2011年発売のモデル。人気の理由は、機能と価格のバランスのよさだろう。2012年発売の新製品に限ると、パナソニックの「LUMIX DMC-GF5」が1位、僅差でオリンパス「OLYMPUS PEN mini E-PM1」が2位だった。

メーカー別の順位は、1位がオリンパス(29.8%)、2位がパナソニック(23.6%)、3位がソニー(20.0%)、4位がニコン(14.3%)、5位が超小型・軽量の「PENTAX Q」を展開するペンタックスリコー(9.4%)で、6位に今年、満を持して参入したキヤノンがシェア2.1%で入った。オリンパス、パナソニック、ソニーの3社がシェア20%台後半~30%台後半で競っていた昨年までの“3強状態”が崩れ、オリンパスが一歩リードしている。各社とも、12月24日の時点ですでに前年の販売台数を上回っており、全般的に好調だ。ミラーレス一眼カメラは、コンパクトデジタルカメラからのステップアップだけではなく、プロカメラマンやアマチュア写真愛好家のサブ機としても人気がある。今後も幅広いユーザーのニーズを取り込んで、話題を集めそうだ。

●デジタル一眼レフは「EOS Kiss X5」が1位、”2強”でシェア9割

続いて、レンズ交換式デジタルカメラからミラーレスタイプを除いた「デジタル一眼レフ」のランキングをみていこう。カラーバリエーションやレンズキットなどを合算したデジタル一眼レフカメラのシリーズ別の販売台数1位は、キヤノンの「EOS Kiss X5」、2・3位にはニコンの「D5100」「D3100」が続いた。1位の「EOS Kiss X5」は、2011年3月発売のやや古いモデルながら22.3%ものシェアを占め、ダントツのトップだった。今年3月発売の後継モデル「EOS Kiss X6i」も、シェア4.8%で7位につけている。

メーカー別の販売台数シェアは、キヤノンが52.9%、ニコンが34.8%で、上位2社だけで9割弱を占めた。銀塩フィルムカメラ時代から競ってきた”2強”以外は、シェア争いから脱落したも同然の状況だ。ちなみに、レンズ交換式デジタルカメラ全体では、デジタル一眼レフの「EOS Kiss X5」が抜きんでていた。以下、「D5100」「D3100」「Nikon 1 J1」「EOS 60D」「OLYMPUS PEN Lite E-PL3」と続く。メーカー別では、キヤノン(28.6%)、ニコン(25.0%)、オリンパス(14.3%)、ソニー(13.3%)、パナソニック(11.3%)の順だった。

●価格だけで選ばず、用途やニーズに合ったカメラを手に入れよう

2012年11月のレンズ交換式デジタルカメラ全体の税別平均単価は6万5691円。税込みで7万円弱、ミラーレス一眼のレンズキットに限ると5万円台前半、デジタル一眼レフのレンズキットに限ると7万台前半だった。また、タイプごとの価格帯別構成比では、ミラーレス一眼は、平均以下の「4万円未満」が43.0%で最も多く、平均並みの「4万円以上6万円未満」と合わせると全体の約7割が「6万円未満」だった。一方、デジタル一眼レフは、「4万円以上6万円未満」が48.2%で最も多く、「4万円未満」と合わせると「6万円未満」が半数を占めるが、プロ向けモデルが該当する「10万円以上」も16.8%を占め、低価格帯一辺倒ではない。

デジタル一眼レフカメラには、撮影時のホールド感や画質のよさなど、ミラーレス一眼にはない利点がある。2012年は、ニコンの「D800/D800E」など、35mm判フルサイズの撮像素子を搭載した上位機種が発売され、話題を集めた。ミラーレス一眼、デジタル一眼レフとも、価格や画素数、Wi-Fi(無線LAN)対応といった初心者でもわかりやすいスペックやイメージだけではなく、撮像素子のサイズや対応マウントの違いなど、カメラの性能を左右する本質的な部分を比較し、動画撮影に特化したビデオカメラやコンパクトカメラを含めて、自分の用途やニーズに合ったものを選びたい。(BCN・嵯峨野 芙美)

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