<家電激戦区を歩く>東京・秋葉原(3) 差異化のカギは「品揃え」と「人」 トップクラスの人材を投入

2013.1.7 10:35配信

東京・秋葉原では、多くの家電量販店やパソコン専門店、組み立てパソコンパーツ店が集積し、激しい競争を繰り広げている。競争に打ち勝つためには、ほかの店との違いを明確に打ち出すことが最も大切だが、そこでポイントになってくるのが「品揃え」と「人材」だ。とくに店舗のコンセプトに合った高いスキルをもつスタッフを揃えて接客やサービスを提供していくことは、他店との違いを最も際立たせるポイントになる。各店は、社内でもトップクラスの人材を配置して力を注いでいる。(取材・文/佐相彰彦)

→東京・秋葉原(1)から読む

<接客・サービス>

●秋葉原ならではの豊富な商品知識 「ロールプレイングよりも実践を重視」

ヤマダ電機LABI秋葉原パソコン館のスタッフは、20歳台から40歳台までの約70人。現場に立っているのが全体の8割程度、そのうちの4割は、かつてこの地にあったサトームセンのスタッフたちだ。中村忠孝店長は、「最先端の情報を発信する店舗として、競合店に負けない商品知識をもった人材を揃えている」と自信をみせる。

中村店長は、これまで中部地区のエリアマネージャー、LABI新宿東口館の営業力強化室長や副店長などを務めてきた。LABI新宿東口館で現場に立ち、薄型テレビを1日100台も売ったことがある。その中村店長が、LABI秋葉原パソコン館でスタッフのスキル向上のために採った手法は、言葉で指導するのではなく、現場で実際に手本を見せることだ。

ヤマダ電機は、競合ひしめく激戦区・秋葉原で、「指導はロールプレイングよりも実践」という信条をもって動く中村店長の手法が生きると判断して、氏をトップに据えたのだろう。

ヤマダ電機グループのProject Whiteが運営するツクモパソコン本店は、専門店としてパソコンやパソコンパーツの品揃えが充実するだけでなく、産業用カメラや九十九電機の頃から扱っていた二足歩行ロボット、ロボット関連工作キットなど、他店にはない専門性の高い品揃えを誇る。当然ながら、スタッフの商品知識は豊富で、「パソコンや組み立てパソコンパーツに関しては、上級者や初心者を問わず、どんなお客様に対しても接客できるスキルをもっている。それだけではなく、ロボットに精通しているスタッフは、組み立てパソコンパーツについても詳しい」と、後藤賢志店長はアピールする。

後藤店長は、名古屋・大阪地区のさまざまなツクモの店舗で長く現場を経験し、2年半前にツクモパソコン本店の店長に就任した。「名古屋や大阪でも、特徴のない店は淘汰された。当店独自の品揃えとスタッフの専門性を十分に生かして、これからも売り上げを伸ばしていく」と力強く語る。

自社ブランドのBTO(注文仕様生産)パソコン「ガレリア」を販売するドスパラ秋葉原本店の斉藤芳昌店長は、「インターネットやメール向け、ゲーム向け、クリエイティブ向け、オフィス向けなど、さまざま用途に適したBTOパソコンを提供してきた。メーカー製パソコンを扱う店舗に比べ、お客様の使い方に合ったパソコンを提供することに長けている」と自負している。15人のスタッフは、全員がパソコンの上級者。パソコンの組み立てに関しても、エキスパートだ。同店のスタッフのアドバイスを受けるためだけに訪れるお客様がいるほど、高いスキルを誇る。

斉藤店長は、ドスパラ入社からこれまで、秋葉原の店舗だけで業務に従事してきた。本店の店長に就任したのは2年前だ。電気街とBTOパソコンを知りつくしている斉藤店長が、ドスパラの旗艦店を引っ張っている。

●【接客】

高齢者を取り込むていねいな接客 アドバイスで最適なモデルを提供

秋葉原は、2005年頃までパソコンマニアが多く訪れる街で、店舗スタッフが顔見知りのお客様と話に花を咲かせる場面がしばしば見られた。今でもこうした店舗は多く残っているが、再開発によって人の流れが変わり、ファミリーや中高年齢層も普通に見かけるようになっている。さらに、サブカルチャーとデジタルの街としてショッピングを目的に訪れる観光客の姿も多い。家電量販店は、こうした新たな客層を確保しようと接客手法を模索してきた。

LABI秋葉原パソコン館では、「できるだけパソコンの専門用語を使わないようにして安心感を与える接客」(中村店長)を心がけているという。中村店長が学生時代、秋葉原を訪れたときに、ある店の親切でていねいな接客によって、自分に合ったパソコンを購入できたことがきっかけになったそうだ。「初めてパソコンを買ったのだが、いまでも感謝している」という中村店長は、この経験をもとに「何に使うかの『目的』、メーカーや色などにこだわりがあるかどうかの『絶対条件』に必ず見合うモデルを提案している。そして、ついでに『購入条件』の予算を聞く」という接客をLABI秋葉原パソコン館で徹底している。

BTOパソコンを扱うドスパラ秋葉原本店のお客様は、自分にぴったりのパソコンを求めて、はっきりとした目的をもって店舗を訪れる。そのため、「お客様の要望を聞いて、アドバイスしながら最適なモデルを提案している」(斉藤店長)という。

法人コーナーで1フロアを割いているツクモパソコン本店では、「パソコン専門店は、常連さんたちだけの店と思われがち。しかし当店は法人のお客様も多い。個人・法人を問わず、ホテルとはいかないまでも、お客様が満足する接客を徹底的に実施している」(後藤店長)という。

●【サポート・サービス】

その場での迅速な修理が好評 常に「お買い得商品」を販売

家電の街・秋葉原は、実は巨大なサポートセンターでもある。「秋葉原の店なら、何でも修理してくれるはず」と期待して、故障した製品を持ち込むお客様も多い。こうしたお客様の要望に応えるために、ツクモパソコン本店では「秋葉原サポートセンター」を設け、故障製品をその場で修理している。

LABI秋葉原パソコン館はPCサポートクリニックを設置し、「技術に関して当社のなかでもトップクラスのスタッフが対応している」(中村店長)という。この技術力で、「サポートの売上高は当社の他店舗と比較しても大きい」と、中村店長は実状を語る。サポートビジネスは利益率が高く、パソコン館の重要なビジネスになっている。

また、LABI秋葉原パソコン館は日替わりの限定品にも力を入れている。独自に作成したチラシを街頭で配ってお客様を誘導。秋葉原を訪れた人だけが知ることができるプレミア情報ということで、チラシの商品は超特価に設定し、午前8時~8時30分に並んだお客様を対象に、抽選で販売する仕組みだ。中村店長によれば、「毎朝、100~200人は並ぶ」という。タイムセールも、「土・日曜日は毎週、メーカーとタイアップして実施している。時にはゲリラ的に行うこともあって、店はお客様で一気に埋まる」(中村店長)という人気だ。

→東京・秋葉原(4)に続く(2013年1月15日掲載)

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2012年12月24日付 vol.1462より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは

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