キムチチゲ(仁川)

『ミョンウォルチッ』のキムチチゲは辛さと酸味のバランスがよい

筆者は焼肉店であらかた肉を食べ終わった後、焼き網に小鍋をのせて煮るキムチチゲが好きだが、ほどよい酸味のあるキムチチゲを朝ごはんにいただくのもなかなかいいものだ。

韓国人なら、発酵が進んだキムチに水を加えて煮て、豚肉を入れて適当に味付けするキムチチゲは家庭でもよく作る。キムチ自体が美味しければ、そこそこ美味しくできてしまうのだ。

それだけに、食堂がキムチチゲを看板にしているということは相当な自信作と見てよい。仁川の旧市街にある『ミョンウォルチッ』もそのひとつだ。

店の隅に置かれた鍋からセルフで好きなだけよそうキムチチゲは、酸味と辛味のバランスがすばらしい。二日酔いのときはスープと白菜をたっぷりと、しっかり食べたいときは豚肉を多めになど、体調に合わせて盛るとよい。

席に着くとサッと運ばれてくる12種類ものパンチャン(つきだし)も充実のひとこと。野菜がしっかり摂れるのもうれしいところだ。これで7000ウォンは十分なお得感がある。

ミョンウォルチッ
中区中央洞3街4-41 TEL:032-773-7890
7:40~22:00 日曜休

コンビジチゲ(ソウル)

『サムサム・クッパ』のコンビジは少しだけ辛味付けしてあるタイプ。5000ウォン

メニューの種類が多く、チゲ(鍋)やタン(汁物)がひととおり美味しく、おばちゃんの接客もあたたかみがあるチェーン店。市場っぽい店は苦手という人向けのこぎれいな店だ。

おすすめは、栄養価が高く、キムチとも相性がいいコンビジチゲ。コンビジはおから(大豆から豆腐や豆乳を作るときにできる搾りかす)、チゲは鍋のこと。

おからは日本では卯の花(うのはな)の材料として知られているが、韓国では鍋のベースとして使われる。食物繊維が豊富なので、便秘解消効果があるとして女性に人気がある。

朝ごはんの店として紹介したが、ここは24時間営業なので、筆者は朝まで飲んでおなかが空いたときによく利用する。

サムサム・クッパ
鍾路区楽園洞225  TEL:02-742-3398
24時間営業 無休

鄭銀淑:ソウル在住の紀行作家&取材コーディネーター。味と情が両立している食堂や酒場を求め、韓国全土を歩いている。日本からの旅行者の飲み歩きに同行する「ソウル大衆酒場めぐり」を主宰。著書に『美味しい韓国 ほろ酔い紀行』『釜山の人情食堂』『韓国酒場紀行』『マッコルリの旅』など。株式会社キーワード所属。