【音楽】矢野顕子×上原ひろみ、全身音楽家の“野生”が全開のコラボ作

2011.11.28 6:00

シンガーソングライターの矢野顕子とジャズピアニストの上原ひろみ。ふたりの天才のタッグから生まれる、想像を超えた自由な音楽の世界に迫ります。

ピアノの鍵盤をひとつ押す。ポーンと音が鳴る。これはただの「音」だ。音楽家と呼ばれる人たちは、この音をいくつも重ねたり連ねたりして、「音楽」を作っていく。だけどこの人たちの場合、ポーンと鍵盤をひとつ鳴らしただけでもう、すでに「音楽」になっているからすごい。後ほど動画を参照していただきたいんだけど、本当にそうなのよ! 最初の一音から完全に音楽になってる。下手したらサウンドチェックの段階からもう音楽になってる。なんかもう全身音楽家というか、この人たちから発されるものはすべてが音楽なのだ、なんて言いきってしまいたくなるほど。 

 

  1955年生まれのシンガー・ソングライター矢野顕子と、1979年生まれのジャズ・ピアニスト上原ひろみ。親子ほど世代の離れているふたりのコラボレーションに自分が初めて触れたのは、2006年にリリースされた矢野顕子のアルバム『はじめてのやのあきこ』だった。『はじめての~』は、矢野のデビュー30周年を記念してリリースされたピアノ弾き語りによるセルフカバー・アルバム。この作品で矢野は忌野清志郎、小田和正、槇原敬之、YUKIといった面々と共に素晴らしい演奏を繰り広げているのだけど、最も衝撃だったのが上原ひろみとの共演による『そこのアイロンに告ぐ』だった。どこに辿り着くのか予測できないスリリングな展開に、聴いているあいだ中、鳥肌が立ちっぱなし。「こんなことやっちゃっていいの……?」と、ちょっと怖くなってしまうほどの凄みを感じたのだった。ちなみにこちらは『そこのアイロンに告ぐ』の2009年のライブ映像がこれ。 

 

  これ、確か某国営放送のお昼の生放送番組での演奏なんだけど、こんなのお昼に流しちゃだめだって! ヤバすぎるって! まず原曲の詞からしてヤバいんだけど、アレンジもヤバいし、ふたりのテンションというか雰囲気自体も相当ヤバい。演奏に入りこんだときの上原さんの目とかも相当ヤバい。次の『あんたがたどこさ』もお口あんぐりな演奏。誰もが知ってる童謡……なんだけど、これはなにがどうなってこうなっちゃったのか。とにかく、これまでの『あんたがたどこさ』観を180度と言わず3000度くらい覆されるくらいの衝撃は軽く保障します。

その『あんたがたどこさ』も収録されている初の共作名義アルバム『Get Together -LIVE IN TOKYO-』は、CD化を前提に行われたレコーディング・ライブの模様を納めたライブ盤。リリースに合わせて、矢野の年末恒例である“さとがえるコンサート”も趣向を変え、“今年は2人でさとがえるツアー~Get Together~”と題したコラボ・ツアーを回ることが決定した。本作を聴いて改めて思ったのは、ふたりは音楽に対してあまりに野生的だということ。ピアノをポーンと鳴らしただけで音楽になってしまう、ホンモノの音楽家ふたりを野放しにすると、こんなに手のつけられないものが生まれてしまうのだ。過剰な演出も緻密な戦略もない、ただただすさまじい音楽だけがそこにあるという贅沢を味わわせてくれる貴重なコラボレーションを、CDとライブで体感してほしい。 

 

 

 矢野顕子×上原ひろみ
『Get Together -LIVE IN TOKYO-』

 


 公式サイトはこちら。
 
矢野顕子×上原ひろみ 期間限定公式ツイッター @hiromiakiko
 
ライブ情報
●12/9(金) 青森市文化会館
●12/11(日) NHKホール
●12/13(火) 静岡市民文化会館 中ホール
●12/14(水) Zepp Nagoya
●12/17(土) 森ノ宮ピロティホール

 

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