<家電激戦区を歩く>東京・秋葉原(4) 「高速」をキーワードにSSD人気が上昇 テレビはネットワーク時代へ

2013.1.15 11:16配信
ツクモパソコン本店では、Windows 8とSSDを組み合わせたパソコンのデモコーナーが好評

秋葉原は、1980年代後半から自作パソコンファンが集まる街として知られ、パソコンパーツを販売する専門店や家電量販店が多く集まっている。また、それ以前の「家電の街」としての顔も、いまだに健在だ。お客様のなかには、パソコンの高速化や、薄型テレビを軸にするホームネットワークなどを求めるケースがあり、パソコン専門店や家電量販店にとっては販売のチャンスが十分に生まれる。そこで、自作パソコン向け商品として、HDD(外付けを含む)とSSD、ベアキットPCの動向と、“地デジバブル”を経て販売が厳しい状況に置かれている薄型テレビについて、パソコン専門店や家電量販店に現況をうかがった。(取材・文/佐相彰彦)

→東京・秋葉原(1)から読む

<売れ筋商品>

●【SSD/HDD】

SSDへの理解が進んで主流に 活用が広がる外付けHDD

2011年に発生したタイの洪水の影響によって生産が滞ったことで、価格が高騰したHDD。一方、SSDは、高速のデータ読み出し・書き込みが注目され、購入者が増加している。自作パソコンや手持ちのパソコンの性能向上を求めるユーザーが訪れる街・秋葉原でも、家電量販店やパソコン専門店の多くが「SSDの長所を認識して買い求めに来られるお客様が増えた」と口を揃える。販売は、2012年の年間を通じて好調で、店頭でもアピールに余念がない。

ツクモパソコン本店では、「SSDをユニークに展示したい」(後藤賢志店長)と考えて、最近、パソコン上級者を対象に、マイクロソフトの新OSであるWindows 8とSSDを組み合わせたデモコーナーを設けた。起動などが速いといわれているWindows 8の特徴をSSDがさらに引き出すという相乗効果で、「購入したほとんどのお客様が『一度使ったら元には戻れない。もうSSD以外は考えられない』と評価している」(後藤店長)という。

ソフマップ秋葉原本館では、「SSDのメリットを理解して購入するお客様のすそ野が広がっている。パソコンの記憶媒体はSSDが主流になりつつある」(菊池悟フロア長)という。HDDについては、「購入するお客様が増えているというわけではないが、価格が下がってコンスタントに売れている」(周辺機器担当の宮田将スタッフ)と、販売は底堅い。外付けHDDに関しては、「パソコンのストレージとしてだけでなく、薄型テレビに接続してテレビ番組を録画したり、ゲーム機と連携したりするなど用途が広がっていることから、お客様の層も広がっている」(宮田スタッフ)としている。また、ホームネットワークを構築するお客様も増えているという。

●【薄型テレビ】

テレビは周辺機器との連携がカギ 大画面のメリットを訴求

薄型テレビの販売は、どの家電量販店に聞いても「厳しい」という。2011年7月の地上デジタル放送完全移行を前に、ほとんどの家庭が地デジ対応テレビに買い替えた。エコポイント効果も手伝って販売が伸びたいわゆる“地デジバブル”である。内閣府によれば、薄型テレビの一般世帯普及率は2012年4月の時点で95%を超え、ほぼ一家に1台という状況になった。当面は、買替え需要が大きく増加することは期待できないだろう。

家電量販店は、この状況を踏まえて、例えばソフマップ秋葉原本館では「いま力を入れているのは、スピーカーやサラウンドシステムなど周辺機器の販売」(レコーダー担当の日向剛スタッフ)という。ブラウン管テレビに比べて本体が薄くなった薄型テレビは、多くのお客様から「音質が悪くなった」との声が上がっていたことから、秋葉原本館では薄型テレビとサラウンドシステムの迫力をデモでアピールしている。また、「『レコーダーで録画したコンテンツをタブレット端末で楽しみたい』というニーズが高まっている。薄型テレビとレコーダーを同じメーカーで揃えて、リンク機能を利用することを改めて提案している」(日向スタッフ)という。さらに、テレビ本来の魅力である画質に対する関心も高く、「フルハイビジョンの4倍の画素数をもつ4K2Kテレビについての問い合わせが多い」(日向スタッフ)とのことだ。

エディオン秋葉原本店では、薄型テレビをパソコンとつないで、画像や動画のデータを表示することを提案。薄型テレビのさまざまな使い方と大画面のメリットを訴えることで、買い替え促進につなげている。

●【ベアキットPC】

一定の利益が確保できる商材 NASベアキットが台頭

メーカー製パソコンの価格低下やBTO(受注生産方式)パソコンの充実によって、自作パソコン人口は、ここ数年、減りつつあるといわれている。ファンが多く集まるはずの秋葉原でも、多くの店舗はベアキットPCの販売が苦戦しているようだ。

ソフマップ秋葉原本館の菊池フロア長は、「完成品の価格が下がったため、少しかじった程度の自作ユーザーは購入しなくなった。また、参入メーカーが少なく、製品が限られているので、今後も伸びは期待できない」と分析。しかし、「コアなユーザーが定期的に購入するという点では、お客様を確保できる商材でもある」として、一定の収益を期待できるとみている。売れ筋は、省スペースを実現したキューブ型。「さまざまなデザインのベアキットPCが出てくれば、自作パソコンファンが戻ってくる可能性がある」と期待を込める。

また、ベアキットPCではないが、「最近になって、NASベアキットを購入するお客様が増え、すそ野が広がりつつある印象だ。ファイルサーバーやインターネット専用端末として使っている」(菊池フロア長)という現象が起きている。ホームネットワークの普及でさまざまな端末がネットワークにつながり、家庭内でもデータの一括管理を実現するユーザーが増えている。NASにはもちろん完成品もあるが、「搭載するHDD容量の自由度が高いということで、ベアキットを購入するお客様が多い」(菊池フロア長)という。今後、ユーザー層の広がりが期待できそうだ。

■アナリストに聞く「売れる理由」

HDD/SSDは、Windows 8の発売をきっかけに前年同月を上回るようになった。2012年11月の販売台数は前年同月比25.7%増。自作ユーザーなどが、OSをWindows 8にした際、パソコン本体の性能を上げるために購入している。一方、外付けHDDだけをみると、接続する製品が増えてユーザーのすそ野は広がっているが、薄型テレビの落ち込みが影響して若干下がっている状況。2012年11月は前年同月比1.5%減だった。

薄型テレビの販売台数は、11月が40.9%減と大幅に下落した。しかし、単価下落のトレンドからは脱出した。2012年5月までは4万円台だったが、6月に5万円台に上がり、11月には5万4000円台に到達し、大画面化も進んでいる。将来、提供されるコンテンツが充実すれば、4K2Kなど、テレビ本来の機能が需要を喚起するのではないか。

ベアキットPCは、2012年11月の販売台数が前年同月比26.8%増と増えている。デスクトップパソコンでモニタ一体型モデルが多くなり、タワー型モデルを求めるユーザーが購入しているのではないか。キューブ型や小型など、省スペースモデルが売れている。今後、自作パソコンユーザーが増加することは期待できないが、デスクトップパソコンを補う商材としては十分だろう。(談)

●家電激戦区「秋葉原」を歩いて

都市再開発によって活性化し、さまざまなお客様が訪れる街になった秋葉原。ヨドバシカメラのマルチメディアAkibaの出店による家電量販市場の拡大、またヤマダ電機の参入による競争激化など、電気街の枠を超えて、秋葉原は大きく様変わりしている。アニメなど、日本を代表するサブカルチャーの街として、海外からの観光客も多い。今後、街は姿を変えながらも「パソコン・家電」「サブカルチャー」で発展していくだろう。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2013年1月7日付 vol.1463より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは

いま人気の動画

     

人気記事ランキング