大女優グレン・クローズ、30年越しの渾身作への自信を語る

2013.1.16 15:39配信
『アルバート氏の人生』のグレン・クローズ(C)Kaori Suzuki

御年65歳の大女優グレン・クローズは、過去に6度もアカデミー賞にノミネートされた“無冠の女王”。そんな彼女が主演、プロデューサー、脚色などひとり四役を兼ね、30年がかりで実現させた念願の映画『アルバート氏の人生』についてインタビューに答えた。

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クローズが演じたのは、19世紀のアイルランドのホテルで働くアルバート・ノッブス氏。有能なウェイターだが、実は生きるために男性のふりをして暮らしている女性という役どころで、映画は歴史に埋もれた声なき人々を代弁するような力強いヒューマンドラマに仕上がっている。

30年前に舞台で演じたアルバートに魅了されたクローズは、映画化のために長年にわたる努力を続けてきたそうで、「資金集めの苦労だけでも本が1冊書けるわね」と笑う。「10年前に一度実現寸前までこぎつけたのに、どうしても製作費が足りなかった。大作を作ろうとしたわけじゃないけど、決して妥協できないラインがあったの。もうひとつ大変だったのは、俳優たちが“この映画に出てみたい”と思ってくれるだけの脚本を仕上げることだった。私だって、どんなに友達に頼まれても脚本が良くない映画には絶対に出たくないもの!」

自ら推敲を重ねた脚本を委ねたのは、女性描写に定評があるロドリゴ・ガルシア監督。「ロドリゴとは以前に仕事をして信頼していたし、ずっと仲良く付き合ってきた。だから脚本を渡されたときはプレッシャーだったみたいね。“読んで気に入らなかったら気まずいじゃないか!”って言ってたわ(笑)」。しかし脚本に惚れ込んだガルシア監督は企画への参加を快諾。「彼自身が素晴らしい脚本家なのに、私が書いた脚本をすごく尊重してくれたのよ」

30年の歳月を費やしたことで、演技にも深みが出たとクローズは認める。「声の出し方や身体の動き、メイクや衣裳、30年間のキャリアで学んだことがすべて役に立ったの。だいたい30年前はまだ舞台の仕事しかしていなくて、映画についてまったく理解してなかった。でも伊達に映画女優を続けてきたわけじゃないから、いまでは映画のパワーをもっと自在に扱えるようになったと思う」と自信を覗かせる。実際、その言葉を裏付けるように、昨年のアカデミー賞では主演女優賞にノミネートされている。

特殊メイクと熟練の演技を駆使した「男性にしか見えない」クローズの熱演は確かに必見だが、作品の核はあくまでも、虐げられた女性たちの自由への渇望を描くテーマ性。「観終わったときにただ心動かされるだけじゃなく、一体なぜなんだろうと疑問を持ってもらえる映画にしたかった」と語るクローズの想いと情熱を、劇場で受け止めていただきたい。

取材・文:村山章

『アルバート氏の人生』
1月18日(金)TOHOシネマズ シャンテほかロードショー

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