撮影:市村岬

羽海野チカさん原作の大人気コミックを、気鋭のスタジオ・シャフトがTVアニメ化している『3月のライオン』。

昨年放送された第1シリーズに続き、2017年10月14日(土)からNHK総合テレビにて第2シリーズ全22話が放送されています。

それを記念して、本作で主人公・桐山零の癒しである川本家3姉妹の次女・ひなたを演じられている花澤香菜さんに、インタビュー!

第2シリーズで描かれるエピソードのお話から、ひなたを演じるうえで気をつけているポイント、そして本作を通じて花澤さんが考える「成長するということ」について伺いました。

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  • ©羽海野チカ・白泉社/「3月のライオン」アニメ製作委員会
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原作ファンも注目のエピソードが描かれる第2シリーズの見どころ

©羽海野チカ・白泉社/「3月のライオン」アニメ製作委員会

――『3月のライオン』第2シリーズで、あらためてひなたを演じてみていかがでしたか?

花澤:第1シリーズで現場の雰囲気が出来上がっていたので、ちょっと間があいてもアフレコ現場に行ったら自然にひなたになれました。

現場にはまったりとした空気感が流れているので、自然とそうなれたのかなと。

――第2シリーズでは、ひなたが中心となる学校でのいじめ問題も描かれていきます。これまでの明るいひなたとの緩急が、演じるうえでも求められましたか?

花澤:『3月のライオン』のアフレコ現場は、こういう風に演じてくださいと最初から言われることがなく、すごく役者に気を使ってくださるんです。

集中してぶわっと感情をさらけ出せるようにと、泣きのシーンも一発で本番収録していただいたり。ひなたちゃんは第1シリーズで、お母さんのことを思い出して1人でわんわんと悲しい涙を流す場面があるのですが、第2シリーズで彼女が流すのは悔し涙なんです。

――同じ涙でも意味合いが違うのですね。

撮影:市村岬

花澤:はい。でもその悔し涙から、すごく勇気をもらえます。

「ただ悲しくはならないぞ」というひなたちゃんの正義感や温かさが、ちゃんと見ているみんなを引っ張っていってくれるんだなって。

そういうところは、しっかり彼女に寄り添って演じなくては、と思いながらやっています。

――主人公・零との距離が縮まっていくようなエピソードも多いですよね。

花澤:零ちゃんとの関係性ですと、第1シリーズでひなたちゃんが思いを寄せている高橋君の話で盛り上がった時に、すごく打ち解けた感じがしていました。

そこから第2シリーズでは、ひなたちゃんの大変な状況を零ちゃんが支えてくれることになり、彼に弱いところも見せられるようになったんです。

――たしかにそうですね。

花澤:橋で泣いていたシーンも、自分1人で「ちょっとコンビニ行ってくる」って泣きに行きましたよね。

そこからあまり強がらなくなって、零ちゃんの前でもわんわん泣けるようになったので、凄く心の距離が縮まっているなと思います。

「バカー!」って台詞を零ちゃんに対して言いながらも、「ありがとう」って意味が込められていたり。

近所のほっとけないお兄ちゃんというだけではなく、ちゃんと頼れる1人の男の子として認識しはじめていると思っていますし、零ちゃんが話している時にひなたちゃんが、ふとすごく優しい顔をしたりするんです。

そういう時の息遣いとか、雰囲気とかそういうものを表現していけたらと思っています。

――第2シリーズのエピソードの中で、ひなた自身が発するセリフ、または周りの人が彼女にかけてくれる台詞で印象に残ったものはありますか?

©羽海野チカ・白泉社/「3月のライオン」アニメ製作委員会

花澤:ひなたちゃんが初めて家族に対して、こういうことがあったと打ち明けた時に、おじいちゃんが「よくやった」と言ってくれるんです。

みんなが救われて、思わず涙が出てしまうような温かいセリフだったと思います。演じられている千葉さんのお芝居が本当に素敵なので、楽しみにして頂ければと思います。

――見てみたいシーンです。

花澤:そのシーンではひなたちゃんも泣いているので、私もアフレコの時に一緒になって泣いていました。

――現在ひなたが戦っているお話のアフレコが進んでいると思いますが、第2シリーズでのひなたの新たな魅力を教えて頂けますか?

花澤:やっぱりカッコいいんです。精神的にダメージを受けている部分はあるのですが、「絶対に間違っていない」という思いが絶対に折れないんだなって。

すごく頼もしいし、もともと人のことをよく見ていて思いやりのある子なのですが、第1シリーズよりもカッコよさが増したと思っています。

――演じるうえでも、そのカッコよさを意識されて。

花澤:ひなたちゃんは、いろんな人に対してすごく怒っているんです。だからカッコよく演じようというよりは、あふれだしてくる怒りともどかしさを表現したいと思っています。

――その想いを受け止めようとする零や川本家の人たちの新たな魅力も感じますか?

花澤:あかりさんもどう声をかけたらいいのかって悩んでいたり、本当に初めてのことだと思うんですよね。それでも、いつもどおりでいようとしてくれたり。

モモちゃんは心配してくれるけど、いつもどおりです(笑)。彼女がいてくれるだけで和んでいるので。

あとは、やっぱり零ちゃんがひなたちゃんのためにいろいろ考えて行動してくれるので、そこは見どころだなと思います。

――ひなたが修学旅行に行くというときに、「行かなきゃ大人になってからも後悔しそうな気がする」と話すシーンがあります。

花澤さん自身が自分も学生のときこうだったとか、ひなたのこういうところに共感できるという部分はありましたか?

花澤:私も中学の修学旅行は京都・奈良だったんです。私はわりと平和な学生時代で、いじめもなかったです。

ですが、原作の中にもありますけど「誰がどのくらいの声の大きさで笑っていいか決められているような感じがする」というような、見えない階級みたいなものがあるんだと感じ始めたのが中学生くらいの時でした。

大学生になった時に「いろんな人がいていいんだ!」と思えて放たれたような感じがしました。ああいうちょっとイヤな雰囲気―ひなたちゃんの学校はちょっとどころじゃないですけれど―なかなか正しいことを正しいと言えない雰囲気があるのは分かります。

――だからこそ、ひなたに共感して勇気づけられる方も多いと思います。

花澤:あと私は、個人的に悔しいことがあったり怒っていることがあったりすると、メソメソするのではなく、家で「クソー!」ってなったりするタイプなので、そこは似ているかなと思います。

ひなたちゃんの自分で前に進もうとするところは、私も共感しているし応援したいと思います。