■喪女ブームに火をつけた漫画!?

『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』
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現時点で、喪女の思考や生態をもっとも端的に描写しているであろうエンタメ作品が『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』だ。作者は谷川ニコ、第1話と最新話がスクウェア・エニックスのウェブ漫画サイト「ガンガンONLINE」で無料配信されている。コミックスは3巻まで発売中。

主人公の黒木智子は小柄で細身な女子高生。高校生になっても友達なし、恋愛経験なし、しかも18禁の乙女ゲーム(ギャルゲーの女性向け版だと思いねぇ)にハマっているという典型的な喪女である。素材はそれなりにかわいいと言えなくもないが、夜な夜なゲームに興じているため目のクマが酷く、ファッションセンスも壊滅的。コンビニ店員と会話するだけで挙動不審になる対人スキルの低さが孤独に拍車をかける。そんな彼女がリア充(現実生活が充実した人々)を妬み、リア充を否定し、だけど自分もリア充になりたくて空回りする姿がコメディタッチで描かれている。

読後感はとにかく“痛い!”のひと言なのだが、ハマればおもしろく、ネットでの評判はきわめて良好。まず英語圏のオタク向け掲示板「4chan」で話題となり、その人気が日本のオタクたちに逆輸入されたという珍しい経緯をもつ。連載が無料で読めるにもかかわらず、コミックス発行は累計100万部に達する大ヒット。ついにはアニメ化の発表までされファンを歓喜させた。

なお、本作の連載スタートはGoogleトレンドで「喪女」の人気が加速度的に高まってきた時期とほぼ一致しており、検索数を押し上げてきた一因となっているのは間違いないだろう。

ネタが濃すぎるためある程度は読者を選ぶ作品だが、とりあえず公式サイトで試しに読んでおいて損はない。気に入ったら作者インタビュー(関連リンク参照)も眺めてみよう。ただし抱きまくらカバーのデザイン(関連リンク参照)を見るには覚悟が必要だ。

■ソフト路線の入門書『もじょまんが。』

『もじょまんが。』
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軽い気持ちで『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』を読んでドン引いてしまった人には、もう少しマイルドな仕上がりの漫画『もじょまんが。』をオススメする。発行はエンターブレインで、10人の漫画家がそれぞれ“喪女”をテーマに短編コミックを描いた単行本だ。

各話のページ数は少ないながらツボは押さえており、「内気だからモテない」「長身がコンプレックスだからモテない」「太っているからモテない」「2次元オタクだからモテない」などなど喪女のバリエーションが実に豊富。最終的に完全な脱喪(喪女を脱すること)をヒロイン誰一人として果たしていないところもグッド。

ストーリーの流れはほぼ王道ラブコメに沿っていて、過激なシーンもないに等しいため安心して喪女の世界を学べるだろう。