彩吹真央  撮影:イシイノブミ 彩吹真央  撮影:イシイノブミ

スズカツこと鈴木勝秀が作・演出を手がける朗読劇『SISTER』が、東京・博品館劇場で、10月23日(月)から4日間上演される。本作は男女ふたりだけで演じられる姉弟の物語。そこで23日(月)19時の回に出演する、彩吹真央に話を聞いた。

朗読劇『SISTER』チケット情報

弟の成長を見守る姉と、そんな姉を煙たがりながらも頼りにしている弟。そんなどこにでもいそうな姉弟の会話を中心に、物語は衝撃のラストへと向かっていく。「私は脚本を読んだ時に、“清々しい”という印象を受けました。というのもこのふたりは姉弟なので、男女の恋愛のように取り繕う必要がないんですよね。無条件にすべてを受け入れる関係性だからこそ、とても清々しい。ただこの姉の立場で弟に言うことが、とても残酷にも思える瞬間があって。そしてそれこそがこの作品全体の死生観であり、死を感じることで逆に生を強く感じる。生きていくということと温かく向き合える作品だなと思います」。

今夏上演の『グローリアス!』でスズカツの現場を経験したばかりの彩吹。「やる側に猶予を与えてくださり、やりたいことを存分にやらせてくださる」とその稽古を振り返る。しかしスズカツの書き下ろし、かつ朗読劇ゆえ稽古期間は1日のみという本作では、また違ったアプローチを要することになりそうだ。「やっぱりご自身が生み出したものに対する信頼感を強く感じるんですよね。スズカツさんの中では100パーセントの素材があって、あとは誰がどう演じても自由だよっていう自信を。つまりこのセリフを読んでいれば絶対に姉になれると思うので、今回自分からこうしたいといったことはあまり加えないようにしたいなと思います」。

彩吹にとって唯一の共演者にして、弟役を演じるのが橋本淳。「やっぱり橋本さんとの姉弟なので、自分の中だけでつくり込むのではなく、ふたりの空気感、ふたりが姉弟なんだなって匂う何かを醸し出せたらいいですよね。橋本さんとの共演は初めてですが、一度ご挨拶させていただいた時、この方が弟だと想像したら勝手にしっくりきてしまって(笑)。すごく自然体な、シンプルな感じが私と似ているなと。きっと弟役に関してもほぼ等身大で演じられるでしょうし、ご一緒するのがすごく楽しみです」。

彩吹&橋本以外に、今回は7組のキャストが出演。「いろんなキャスティングでやれる面白さがこの作品にはあると思いますし、他のペアの方の公演も観ていただけたら、きっと面白さが倍増すると思います」。

公演は10月23日(月)から26日(木)まで東京・博品館劇場にて。

取材・文:野上瑠美子