左から、マリー・ブラッサール、松雪泰子  撮影:舞山秀一 ヘアメイク(松雪):石田絵里子(air notes) スタイリスト(松雪):安野ともこ(コラソン) 左から、マリー・ブラッサール、松雪泰子  撮影:舞山秀一 ヘアメイク(松雪):石田絵里子(air notes) スタイリスト(松雪):安野ともこ(コラソン)

この秋注目の舞台『この熱き私の激情~それは誰も触れることができないほど激しく燃える。あるいは、失われた七つの歌』。36歳の若さで自ら人生の幕を閉じた女性作家ネリー・アルカンが、自身を題材に綴った小説をコラージュし、6人の女優とひとりダンサーでひとりの女性を表現する。その独創的な舞台を立ち上げる、翻案・演出のマリー・ブラッサールとキャストのひとり松雪泰子が顔を揃え、創作への意気込みを語った。

舞台『この熱き私の激情』チケット情報

始まりは、マリーがネリーの文章をベースにした舞台づくりを提案されたことだった。「いい企画だと思いました。ネリーの文章は文学的であり、女性の置かれている状況、女性の地位について書かれている。それは今も、万国共通の問題だと思うんです」(マリー)。松雪も言う。「ネリーが何に怒りや憎悪を持ち、なぜそこまで傷つき苦しんでいたのか。そこを探っていくと、私自身のなかにも、手離せていたと思っていたものが奥深く刻印されていて、拭い去れない痛みとしてまだ存在しているんだなと改めて感じるんです。たとえば、母親との関係に苦悩する彼女の言葉から、幼いときにちょっとしたことで母親に愛されてないと誤解してしまったことを思い出したり。ですから、きっと誰にも突き刺さる言葉があるのではないかと思っています」(松雪)。

6人の女優とひとりのダンサーにテーマを与えて表現するという演出は、カナダの初演で実際に演者に小説から共感する文章を挙げてもらったところ、それぞれが違う箇所を挙げたことから発案された。「美、死、宗教、宇宙、血縁など、ネリーが執着していたことを分けて描くことによって、彼女の作品がより理解でき、彼女がいかに知的な人であるかを知ってもらえるとも思っています」(マリー)。

すでにワークショップもスタート。「マリーさんは私たちを明確に導いてくださる方。それも、決して『こうしてほしい』とはおっしゃらないんです。私たち俳優一人ひとりをアーティストだと思って、私たちから生まれるものを大切にしてくださる。一緒にセッションしてものづくりができるのが光栄です」と松雪が言えば、マリーは、「私自身が女優でもあるからかもしれませんが、女優はツールとして見られることが多い。でも、一人ひとりがユニークな表現方法を持っています。自分自身がクリエイションしている、自分にしか作れないものを作っていると感じてほしいんです。その私たち作り手の人間的な感動は、観てくださるお客様にも伝わるはず」と力強く語る。今マリーは稽古場で、女優たちの変革を感じているそうだ。そのパワーはきっと、観る私たちをも変革してくれるだろう。

舞台は11月4日(土)から19日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場にて上演。その後、広島、福岡、京都、愛知を巡演。

取材・文:大内弓子

「ウレぴあ総研」更新情報が受け取れます