<家電激戦区を歩く>福岡・福岡市(1) 博多駅前を中心に家電市場が拡大 郊外でもチェーン店の競争激化

2013.1.21 10:40配信
九州新幹線の開業をきっかけに、競争か激化している福岡市

福岡市の家電量販市場が拡大を続けている。JR博多駅周辺は、九州新幹線の開通や駅ビルの開業で街全体が活性化し、駅前の家電量販店やパソコン専門店などへの来店客が増加。古くからの繁華街である天神地区も、百貨店や複合施設のキャナルシティなどを訪れる地元客・国内外の観光客を集めて健在だ。また、香椎や福岡空港周辺などの郊外には大手量販店の郊外型店舗が軒を連ね、競争が激化している。600億~700億円の市場規模といわれる福岡市の家電量販市場を追った。(取材・文/佐相彰彦)

<街の全体像>

●新駅ビルや九州新幹線で活性化

2011年3月、福岡市の流通市場に転換期が訪れた。3月3日、JR博多駅に新駅ビルのJR博多シティがオープンし、12日に九州新幹線が開業。人とモノの流れが大きく変化した。もともと博多駅は、九州各地への入口にあるターミナル駅として機能していたが、この日を境に駅周辺地区への来訪者が急増。ビル運営会社の博多ターミナルビルによれば、開業から1年が経過した段階で累計来店者は5420万人、1日平均来店者は目標の10万人を超えて15万人程度。また、九州新幹線の開業は九州各地から博多・天神地区へのビジネス・観光客を増加させ、国土交通省九州運輸局によれば、熊本駅から博多駅までの九州新幹線の利用者数は開通後1年間で896万1000人で、開通前の在来線特急利用者数の137%を記録した。博多駅そのものがショッピング街・観光地に変貌し、駅前に店を構える小売業には大きなビジネスチャンスになっている。これは、家電量販店やパソコン専門店にもあてはまる。

一方、九州最大の繁華街として知られる天神地区は、博多駅前の活性化で来訪者減が危ぶまれたが、逆にJR博多シティ開業が来訪者を増やす要因となった。高速バスターミナルがあることや、西鉄福岡(天神)駅に直結した複合商業ビルのソラリアステージに集まる若者や、岩田屋本店や福岡三越、大丸福岡天神店など百貨店の常連客は健在。さらに、天神近くにある複合施設のキャナルシティは、外国人観光客が平日・休日を問わず多く訪れている。来訪客の増加で、この地域に店を構える家電量販店は確実にお客様を増やしている。

●ヤマダ対ビックのグループ対決も

繁華街の家電量販店やパソコン専門店が流入する新規顧客を獲得する一方で、郊外型の家電量販店は、自動車で気軽に訪れることができる半径10km以内を商圏として住民をリピーターとして確保している。最近の大手家電量販店の合従連衡で、ますます競争は激化の様相を呈してきた。

例えば、博多からクルマで20分ほどの香椎地区には、ヤマダ電機グループがテックランド香椎本店とベスト電器BB香椎本店を、またエディオンがアウトレット香椎浜店を構える。また、博多区に近い福岡空港周辺の糟屋郡志免町にはビックカメラグループのコジマNEW福岡空港店があり、白物家電が得意なコジマとデジタル機器に強いビックカメラのノウハウを組み合わせることによって、これからどのような店舗に生まれ変わるのか、気になるところだ。近くにはヤマダ電機のテックランド福岡志免本店とテックランド博多本店があり、家電量販店トップのヤマダ電機グループと2位のビックカメラグループによる郊外での対決が本格化することになる。

現在、福岡県福岡市の家電量販市場は、博多駅前が最も大規模といわれている。これには、店舗面積2万3000m2を誇るヨドバシカメラのマルチメディア博多の存在が大きい。このほか、ドスパラ博多店、ユニットコムのTWOTOP博多店、じゃんぱら博多店などのパソコン専門店や、マウスコンピューターのダイレクトショップがある。

博多に次いで市場規模が大きい天神地区には、ビックカメラの天神1号館・2号館と、ヤマダ電機グループで福岡を本拠地とするベスト電器が福岡本店と博多大丸店を構える。このほか、アップル直営店のApple Store福岡天神や、那珂川を隔てたキャナルシティにはラオックスが出店している。

郊外では、ヤマダ電機が5店舗と糟屋郡志免町に1店舗の合わせて6店舗、コジマが1店舗と糟屋郡志免町に1店舗の合わせて2店舗、エディオンが3店舗を構えている。

●福岡市への一極集中 郊外では出店ラッシュも

――クロス 得平司代表取締役

JR博多シティの開業や九州新幹線の開通によって、商業都市・福岡の家電量販市場はますます活性化している。家電量販店コンサルタント、クロスの得平司代表取締役は、「福岡市の流通市場は、これまで天神への一極集中型だった。しかし、博多駅前の活性化によって、大きくみれば、県の家電量販市場が福岡市に一極集中する可能性も出てきた」と捉える。

これまで、福岡県で家電量販店の多い都市といえば北九州市だったが、このところ、北九州市の経済はやや冷え込んでいる。得平代表取締役は、「福岡市の郊外には、まだまだ出店の余地がある。今後、福岡市に新たに出店する家電量販店も出てくるのではないか」と分析する。郊外型店舗で実績をもつケーズホールディングスや、エディオンなどが旗艦店を構える可能性があるという。

駅前での競争も激しさを増しそうだ。天神には、ビックカメラ2店舗とヤマダ電機グループのベスト電器が店を構えている。家電量販業界の上位2社の戦いは、現段階で、ビックカメラに軍配が上がっているようだが、ヤマダ電機とベスト電器のノウハウが合わさることで、新しい形態の店舗が生まれる可能性がある。「福岡県を本拠地とするベスト電器の知名度は非常に高く、ファンは多い」ということからも、これからの勝負の行方はわからない。

福岡市は、韓国や中国など、東アジアとの距離が近い。得平代表取締役は、「福岡空港が東アジアのハブ空港になれば、さらに海外からの観光客が増えていくだろう。彼らが家電量販店の重要なお客様になる」とみている。

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2013年1月14日付 vol.1464より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは

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