BCNは、1月16日、全国大手家電量販店のPOSデータを集計した「BCNランキング」データをもとに、2012年のデジタル家電の販売動向を発表した。市場が急速に立ち上がったタブレット端末やスマートフォン、高価格帯製品の販売が好調なデジタルカメラに比べて、薄型テレビとレコーダーの苦戦が際立った。特に薄型テレビとレコーダー市場では、薄利多売のシャープと、収益重視のソニー、東芝、パナソニックという旗幟(きし)が鮮明になった。

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2012年の薄型テレビ市場は、販売台数が前年比59.1%減、販売金額が63.5%減で、平均単価は前年から5900円下落した。年間を通じてほとんどピークがなく、年末商戦は過去3年のうち最も低調な結果に終わった。平均単価はやや持ち直し、12月には前年の実績を上回った。

ただし、2011年12月を基準に画面サイズ別の平均単価変動率をみると、上昇傾向にあった30型以上の平均単価は、8月に下落に転じた。なかでも30型台は、7月時点では8.8%と全体で最も上昇していたが、ジリジリ下がって12月にはマイナス2.8%に下降。価格競争が再燃する可能性がある。50~60型台は、20万円から15万円の間で各社ほぼ横並びで落ち着いた。大型製品のなかでも、シャープがけん引している70~80型台の平均単価は下降線をたどっており、今後の動向を注視する必要がある。

メーカー別の販売台数では、シャープがシェアを急回復。6月から12月にかけて19.1%伸ばし、45.2%を占めるに至った。要因の一つとして考えられるのが価格で、6月頃から40型以下のシェアが上昇すると同時に平均単価が下降しはじめている。12月時点では、上位3社のうち最も平均単価が低かった。

平均単価が比較的安定している50~60型台では、シャープのシェアが急落。ソニーと東芝が差を詰めた。ソニーと東芝は、全体の販売台数に占める大型製品の比率が高まっており、小型製品の販売を伸ばすシャープとの違いが鮮明になった。

一方のレコーダーは、販売台数が前年比46%減、販売金額が54.6%減で、平均単価は7700円下落。年末商戦は、テレビ同様、過去3年間で最も振るわず、盛り上がりに欠けた。新製品の発売やHDD容量の増加などがあったものの、価格を押し上げる要因にはならず、平均単価は前年並みの水準だった。

メーカー別の販売台数シェアは、低価格路線を敷くシャープが頭一つ抜け出している。2位グループのパナソニック、東芝、ソニーは単純にシェアを追わずに収益重視の方針で、平均単価は上昇傾向がみられる。

売れ筋は「型落ち」と呼ばれる旧製品が中心で、例えば製品別でトップ20に入ったシャープ製品は、すべて型落ちだった。レコーダーは、新たな価値の提供が喫緊の課題となっている。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。