(左から)平松恵美子監督、山田洋次監督

『東京家族』と『ひまわりと子犬の7日間』の特別上映会が20日に宮崎県日向市で開催され、山田洋次監督と平松恵美子監督が登壇し、1200人の観客を前に舞台あいさつを行なった。

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『東京家族』は、監督生活50周年を迎える山田監督の記念作品。小津安二郎の代表作『東京物語』にオマージュを捧げた家族の物語。『ひまわりと子犬の7日間』は、実話をもとに、1匹の母犬と1人の父親の絆を描くヒューマン・ドラマで、山田監督のもとで20年にわたって助監督や脚本家として経験を積んだ平松監督の初監督作品となる。

本イベントを主催した“山田会”は、山田監督を敬愛し応援する有志の団体で、平成5年に発足し、映画館のない日向市で、山田監督作品の上映会を1年に1回開催している。山田監督は、毎年、上映会に駆けつけ講演を行なっており、山田監督の手がけた『十五才 学IV』では、日向市で撮影が行なわれた。

平松監督と壇上に上がった山田監督は、「彼女は『学校』シリーズ以来長い間、僕のアシスタントを務めてくれ、共同脚本としても名を連ねるようになった大変優秀な女性です。第一回監督作が、宮崎で起こった実話がもとになっている作品という大変不思議なご縁があり、こうしてふたりで立てたことをとても嬉しく思っております」と顔をほころばせた。平松監督は「たくさんの方々が集まり、この会場が熱気に包まれていてびっくりしています。山田監督が、大変お忙しいにも関わらず、『日向の上映会には、何をおいても行く』と毎年毎年いわれるお気持ちが今、ここにこうして参加させていただいてわかりました」と話した。

平松監督が、山田組に初めて参加したのは、1992年に宮崎で撮影された『男はつらいよ 寅次郎の青春』。さらに、初めて共同脚本を担当した『十五才 学校IV』でもロケ地は宮崎だった。「人生の要所要所で宮崎が登場するという不思議なご縁と、感謝を宮崎には感じている」と話す平松監督は『ひまわり…』について、「宮崎の保健所で実際に起きたことを扱った作品で、描かれていることは、とてもシンプルではありますが、力強い命に関する物語だなと思って、ぜひ、私が最初に受けた素直な感動を映画にできないかなと思ったのがきっかけでした」と語り、「監督というのは大変だな、と思いました。全体を常に見渡していないといけないし、スタッフの心理状態も見ていなければならない。改めて山田監督の大きさを感じました」と振りかえり、山田監督は、「映画というのは人間を描くわけで、だからこそ、人間をどうみるか、どう描くかを考え続けていって欲しい」と愛弟子にメッセージを贈った。

『東京家族』

『ひまわりと子犬の7日間』
3月16日(土)全国ロードショー
※3月9日(土)宮崎先行ロードショー