荒唐無稽な部分はあれど、ギリギリ現実世界の枠内に収まっていた原作からすると、このタイムトリップ展開はかなりぶっ飛んだ設定といえる。

しかし個人的にさほど驚かなかったのは、最近「レイトン教授VS逆転裁判」をプレイしたからだろうか。あれも逆転裁判のキャラクターが異世界で活躍する話だった。(記事:「【3DS】最新作「レイトン教授VS逆転裁判」最速プレイレポート!」参照 [ http://ure.pia.co.jp/articles/-/10914 ]

そんなこんなで30年前にタイムトリップしたマイルズ・エッジワースとラリー・バッツは、立ち寄った酒場で殺人事件に巻き込まれることになる。証人として法廷に立つことになったマイルズ・エッジワースが出会ったのは、弁護士として活躍していた若き日の父、グレゴリー・エッジワースであった――。

まだ自分が生まれていない時代の父親と出会うという展開は、タイムトリップ物の定番ともいえるもの。その点からいえば今回のストーリー自体に目新しさはないのだが、感心するのはちゃんと「御剣検事の父親は有能な弁護士である」という原作の設定を受け継いで、さらにそれを発展させているところだ。

原作を大事にしている部分はこの他にもたくさん見受けられ、BGMや効果音からキャラクターの仕草の一つ一つに至るまで、原作ファンならニヤリとしてしまう要素が盛り込まれていた。これは、脚本家・演出家はもちろん、キャストがキャラクターをしっかり理解して自分のものにしているからこそだろう。

 

中でも鳥肌モノだったのは、裁判パートでマイルズ・エッジワースが見せる「待った!」や「異議あり!」などの動きである。これがまた、原作の御剣検事の動きにそっくりなのだ! 特に原作ファンは、こうしたキャストの細かい挙動にもご注目いただきたいと思う。検事と弁護士による応酬もスピード感たっぷりで、見どころの一つだ。

タイムトリップというSF的展開ながら、ストーリーの方は実に正統派のミステリーといったところ。逆転裁判らしいどんでん返しも用意されており、十分満足いくものとなっている。