左から三谷幸喜、天海祐希、野田秀樹、内野聖陽、山本耕史 左から三谷幸喜、天海祐希、野田秀樹、内野聖陽、山本耕史

野田秀樹と三谷幸喜の顔合わせで注目を集める舞台『おのれナポレオン』の製作発表が23日に都内で行われ、野田、三谷のほか、キャストの天海祐希、山本耕史、内野聖陽が記者会見した。

作・演出を手がける三谷が言うには、「“野田さんを主役に”という企画が持ち上がってまず考えたのは、いつもはやりそうにない役を演じていただきたいということ。『社長漫遊記』はどうだろうとか、国定忠治や西郷隆盛も面白そうだろうし、ダ・ヴィンチ、いやむしろモナ・リザかな、と考えていくうちに行き着いたのが、ナポレオンだった。こじんまりしていて、すごくせっかちで、常に動き回っていて、物を食べるときにやたらこぼす。そういう伝記を読んだときに、僕が持っている野田さんのイメージと重なりました」。それを受けて野田は「台本の3分の1を読ませていただきましたが、明らかに当て書きだと思いました。三谷さんが自分をどう見ていたのか、しみじみと実感できた。それぐらい、ちゃんとイヤな奴として描かれているんです。“偉くなり過ぎて、周りに言う奴いなくなっちゃんだよ”というようなセリフがあって、ああ、自分はそういうイメージなのかと。三谷さんにはさぞイヤな気持ちにさせていたんだなと、反省しきりです」と応酬し、笑いを誘った。

物語は、セント・ヘレナ島に流されたナポレオンがなぜ死に至ったのか、その謎に焦点を当てる。ナポレオンの愛人アルヴィーヌを天海、その夫であるモントロン伯爵を山本、医師アントンマルキを今井朋彦、従僕マルシャンを浅利陽介、島の総督ハドソン・ロウを内野が演じる。日本演劇界を最前線でリードするふたりのそろい踏みに、キャストの面々も興奮を隠さない。「すごい顔ぶれの舞台で、客席から観られないのが残念」(天海)、「お二方とも作・演出家であるだけに、ケンカになったらいやだなと思いつつ、演劇という共通言語があるので、楽しい現場になると思う」(内野)、「勉強できるのがうれしい。いろんなことを見ることができるという期待にあふれています」(山本)。

「台本を読むと、早く覚えておかなきゃと思うほど、モノローグが長かった」という天海のコメントからもわかるように、様々な人物の証言を通して主人公の姿を浮き彫りにする趣向らしい。三谷は言う。「主役でありながらナポレオンのセリフが最も少ない。最近は歴史上の人物を描くことが多いんですけど、興味があるのは、英雄つまり“選ばれた人”よりも、“選ばれなかった人々”のほう。今回も、周りの人々をしっかり描きたいと思います」。

『おのれナポレオン』は4月6日(土)・7日(日)にプレビュー公演をおこなった後、4月9日(火)から5月12日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウスにて上演。チケットは、1月26日(土)10時より一般発売開始。

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