アン・リー監督が語る『ライフ・オブ・パイ』と格闘した4015日

2013.1.24 18:39配信
『ライフ・オブ・パイ』を手がけたアン・リー監督(C)2012 TWENTIETH CENTURY FOX FILM

『ブロークバック・マウンテン』や『ラスト、コーション』で知られる名匠アン・リー監督の最新作『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』が明日25日(金)から日本公開される。本作の主人公は227日間の過酷な漂流生活をおくるが、リー監督はこの物語と11年もの間、連れ添ってきたという。

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本作は、動物園経営者を父に持つ16歳の少年パイ・パテルが船の事故に遭い、どう猛なベンガル・トラと小さな救命ボートに乗り込んで227日にもおよぶサバイバル生活を展開する様を、美しい自然の風景を交えて描き出した感動作だ。

登場人物はその大半が人間の青年とトラのみ。舞台は全方位に水平線が広がる海のど真ん中。そこでは言葉に頼らないドラマが描かれ、その奥には哲学的な主題が待つ映画化には極めて課題の多い題材だ。リー監督も11年前に原作小説を読み「映画化は無理」と判断したという。しかし、リー監督は今から5年前に映画会社から別の監督が書いた台本を持ち込まれ、試作フィルムの製作に着手する。「2年かけて、海のシーンをプリ・ビジュアライゼーションしたんです。70分ありました。その後、プロジェクトをやると決めるまで8か月思い悩みました」。

リー監督ほどのヒットメイカーになると、多くの企画や脚本が持ち込まれ、言葉は悪いが“意欲的ではないが金は儲かる”企画を選ぶこともできる。しかしリー監督は、準備に着手する。「ブラックホールのような吸引力があって引き込まれる感じでした。それから逃れる方法はなく、ただ引っ張りこまれたんです。そういう運命のような感じでした。やるしかないんです」。

それから長い準備をし、台本の構成を変え、予算を獲得するまでに18か月を費やし、3Dで撮ることを決めたのは、あの『アバター』が公開される9か月も前のことだ。さらにそこから3年を投じて製作に挑んだ。「ポスト・プロダクション(編集やCGの合成、録音など映画の仕上げ作業のこと)だけに1年半かかりました。いろいろと混乱がありました。3Dの問題を乗り越え、水の問題を処理し、こういうものすべてを乗り越えてやっとです」。ついに完成した映画は、観客・批評家から圧倒的な支持で迎え入れられ、興行的にも成功。本年度のアカデミー賞では作品賞、監督賞を含む11部門にノミネートされている。

かつてリー監督はこう語っている。「主題を徹底的に信じること、その点に固執しています。もし私がテーマを信じきっていなかったら、主題に没頭しているように見えなかったら、誰もついてきません。単に仕事をやるだけでは、映画は魂のないものになってしまいます」。リー監督が11年もの時間をかけ、時に悩みながらも、信じて、寄り添ってきた“運命の物語”がいよいよ明日、日本のスクリーンに映し出される。

『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
1月25日(金) TOHOシネマズ 日劇ほか全国公開
※3D/2D同時上映

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