『人生、ブラボー!』で監督を務めるケン・スコット監督(C) 2011 PCF STARBUCK LE FILM INC.

ひょんなことから父親になってしまった男が主人公の映画『人生、ブラボー』が26日(土)から日本公開になる。過去に交際相手がいた男性であれば“自分の知らない子ども”が突然登場する可能性はゼロではないが、本作に登場する主人公の子どもの数は何と533人! 本国カナダで大ヒットを記録し、すでに米国リメイクも撮了したというケン・スコット監督に一風変わった本作について語ってもらった。

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本作の主人公は42歳の独身男性ダヴィッド。彼は過去に693回もの精子提供を行っており、533人の“父親”になっている。物語は142人の“子ども”から父親の身元開示請求裁判を起こされたダヴィッドが、自分の子どもの中に応援するサッカーチームのスター選手がいることを発見したことを機に、自分の子と自身の人生を見つめなおしていく過程をコミカルに描いている。

顔も知らない自身の子が次々に登場するドラマは、優秀な種牛スターバックには世界に20万頭もの子どもがいる……という実話から始まったそうで、本作の原題もズバリ『STARBUCK』だ。「父親の話にしようというのは元々あったアイデアで、僕と共同脚本のマーティンがふたりとも父親だったというところが大きいです」。ふたりは脚本執筆にあたって、精子提供に関するリサーチも行ったようだが、あくまで物語の主軸は“突然、父になった男”のドラマだ。「(ダヴィッドを演じた)パトリック・ユアールも実際に父親なので、自然と演じられたと思います」。

急に父親になってしまうこと、そして精子提供によって父になってしまうことの是非など、本作にはじっくりと考えさせられる要素も含まれているが、「コメディ要素のあるドラマというものに惹かれる」というスコット監督は、登場人物を豊かに描き出し、思わず笑みのこぼれる映画作りを目指した。すでに撮影を終えたドリーム・ワークス製作のリメイク版でも監督を務めたが「コメディとドラマのバランスを変えたくないというのはドリームワークスも理解してくれましたし、好きにやらせてくれました。私にとってストーリーが最も肝心で、その時に伝えたいものを表現できる作品を手掛けていきたいです」という。

ちなみにスコット監督は「『インディ・ジョーンズ』のビデオ・テープが擦り切れるほど何度も観た」ほどのスピルバーグ・ファンで、ドリーム・ワークスを率いるスピルバーグとの対面も果たしたそうだ。「オリジナルの作品をとても気に入っていただき、リメイクに関しても特に細かい注文がなく自由にやらせてもらいました」。自身が映画の道へと進むきっかけを作った“父親的存在”から、その才能を認められたスコット監督が本作でどんな手腕を見せているのか、スクリーンで確かめてほしい。

『人生、ブラボー!』
1月26日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国ロードショー