苦悩を経て辿りついた“温もり”。橋本愛が語る映画『さよならドビュッシー』

2013.1.29 15:21配信
『さよならドビュッシー』に主演した橋本愛

第8回『このミステリーがすごい!』大賞で大賞を受賞した中山七里原作の同名小説を、『クロエ』の利重剛監督が映画化した『さよならドビュッシー』でヒロインを演じた橋本愛が、自分にすべてを預けて撮影した利重監督に感謝の想いを示した。

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橋本演じる香月遥は従姉妹の片桐ルシアとともに、ピアニストになる夢があった。ある晩、祖父が暮らす家でルシアと火事に遭った遥は全身火傷の大怪我を負うが、1人生き残ってしまう。生前ルシアとドビュッシーの『月の光』を弾くことを約束した遥は火傷の後遺症と闘い、ピアノ教師の岬洋介と二人三脚でコンクールでの優勝を目指す、というストーリーだ。そこへ祖父の24億円の遺産を巡って、遥の身辺で謎の事件が起こるミステリーも同時進行する重層的世界。橋本は「彼女の感情も人生も想像するだけだったので、体も心もすべてを使って演じました。背負うだけで精一杯でした」と難役だった遥役を回想する。

壮絶な人生を背負った主人公像である上に、劇中ではピアノ演奏のシーンも務めた。さぞかし大任だったに違いないが、「利重監督が救いだった」と橋本は言う。「完成した映画を観た時に、利重監督はわたしを嫌わず、すべてを許してくれたと思いました」と感謝の念を吐露する。そして、「ずっと現場では笑顔だったので、笑顔が消えた瞬間、すごく“うれしかった”ことを覚えています」と意外な告白も。「毎日穏やかな空気感だったから、自信がなかったわたしは余計に現場がきつくて――でも、利重監督が初めて怒った時に現場に緊張感が走って、その時の自分の気持ちと現場の緊張感がマッチして、初めて中和したような気持ちになって救われた気がしました」とプレッシャーに襲われていたからこその苦悩を説明する。彼女の葛藤と奮闘、その気迫はスクリーンを通して確実に伝わっている。

努力の成果で、「出演作の試写で、その温もりに触れて涙を流したことは初めての経験でした」と自分でも予想しなかった仕上がりに感激したという橋本。「客観的には観られなかったですが、利重監督の人柄が出ている作品になったと思いました。スクリーンから漏れ伝わる、優しさ、温かさ、寛大さ――最後はわたしだけが感じたことかもしれないですが(笑)――抱きしめてくれるような温もりを感じる映画になったので、観てほしいです」。

『さよならドビュッシー』

取材・文・写真:鴇田崇
メイク:宇賀理絵
スタイリスト:瀬川結美子

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