範囲を青年誌、少女誌にまで広げると創刊40年オーバーの雑誌はまだまだ見つかる。週刊じゃないとはいえ、3大少年誌をも圧倒する少女漫画はすごい長寿だ。

なかよし(講談社、1954年~)
りぼん(集英社、1955年~)
マーガレット(集英社、1963年~)
ビッグコミック(小学館、1968年~)

さらに、廃刊となったが集英社の『少年ブック(1949年創刊)』『少女ブック(1951年創刊)』など、戦後漫画誌の歴史はまだ遡れる。この連綿と続く流れ、作家とファン層の厚さは世界に誇ってもいいのではないだろうか。

■ギネス記録なるか!? 短命漫画誌列伝

40年、50年の歴史を誇る長寿漫画誌があると同時に、創刊1年も経たず休刊となった雑誌もある。読者ニーズに合わなかったのか、はたまた単なる経営陣や作家側の都合なのか……そうした“短命漫画誌”をいくつかピックアップしたい。

まずは2009年4月に創刊された日本文芸社の「コミックBREAK」。かつて週刊少年ジャンプで人気だった『真島クンすっとばす』の続編を看板タイトルにメジャーどころの作家陣を起用して売り出したが、創刊から半年で雑誌(紙)形態での発行を終了することとなった。ただし完全に廃刊扱いというわけではなく、現在はデジタル媒体「ケータイコミックBREAK」として存続中。『真島クン』の続編『真島、爆ぜる!!』も漫画ゴラクに移籍して紙媒体での連載が続いているなど、まだずいぶん救いがある。

お笑い業界から漫画誌に参戦してきた異色どころでは、吉本興業の子会社が発行した「コミックヨシモト」が比較的記憶に新しい。2007年に鳴り物入りで創刊されたが、その後3ヶ月、7号で休刊という厳しい結果になった。記者も当時気になって読んでみたが、漫画としてのおもしろさは正直「う~ん」といった印象。お笑いファンから見てどうたったのかもぜひ感想を聞いてみたい。

また、2009年に創刊されてわずか2号で刊行ストップしてしまった雑誌に、芳文社の「コミックギア」がある。『ドージンワーク』で知られる人気漫画家のヒロユキ氏みずからが総指揮をつとめたり、どう見ても雑誌なのに流通上の分類がコミック(単行本)扱いだったり、これまた異色づくめの雑誌だ。結果としては残念だったが、こうして作家自身がイニシアチブを取るという試みは意欲的でおもしろい。

そして2012年4月、ここまで全部が前フリだったと思えるような、とんでもない短命漫画誌が登場した。雑誌名は「コミックキューガール」、発行元は冒頭の漫画サンデーと同じく実業之日本社だ。創刊から数号で休刊どころか、なんと――“創刊号の発売日に休刊”という前代未聞なもの。おそらく申請すれば永遠に破られないギネス記録となれるだろう。

この事態はすぐさまネット上で話題となり、休刊の理由を問うべくメディアが取材に動いたりもした。なにより一番ショックだったのは寝耳に水な連載作家陣で「絶句するしかない」「ひきこもろうかな…」「あはははははははヽ(^0^)ノ」などと発言し、彼らのツイッターが阿鼻叫喚の図となった。

まだ売上結果が出ていない状態での休刊決定は、連載作家陣の一人・水鳥なや氏がツイートしていたように「刷り上ったものを実業之日本社のトップが見て、廃刊にさせた前誌と何が違うと言いいだして2号目以降の発行にストップがかかった」(※原文ママ)というのが真相の模様。当時のITmediaさんの記事を読むかぎり事実だろう。経営判断としては正しいのかもしれないが、懸命に雑誌を創りあげようとした編集者・漫画家、そして心待ちにしていた読者たちにとっては残念きわまる話である。