『ZANNA ザナ ~a musical fairy tale~』公開稽古より 『ZANNA ザナ ~a musical fairy tale~』公開稽古より

ミュージカル『ZANNA ザナ ~a musical fairy tale~』の開幕に向け、1月26日、都内の稽古場にて、一部のシーンが取材陣に公開され、キャストの渡部豪太、高垣彩陽、田中 ロウマ、上木彩矢、東山光明、Spi、岡田亮輔、千葉直生、そして演出・訳詞の小林香が意気込みを語った。

同性同士のカップルが当たり前で、逆に異性間の恋愛が波紋を呼んでしまう。そんな逆転した世界を生きる高校生たちの青春グラフィティは、2002年にNYの小さな劇場で産声を上げた。当時NYに滞在していた小林は、評判を聞いてオフ・オフ・ブロードウェイの劇場に駆けつけたひとりだ。「セクシャル・マイノリティをここまで全面的に取り上げた作品は、日本では上演しにくいだろうと思いました。実際、シアタークリエのオープン当初のラインナップ候補に挙がった際は、お客様に受け入れていただけるかどうか判断しかねて、実現しなかったんです。それが、まさかこのような日が来るなんて。時代は変わったなと思います」と感慨深そうに語る。

岡田が「みんなの個性が本当にそれぞれ違うので、どういう化学反応を起こすか楽しみにしてほしい」と語るとおり、色とりどりの多彩な才能が集まった。作品の魅力について「とても画期的で斬新」(渡部)、「たくさんの願いが込められている」(高垣)、「観れば世界観や価値観が変わるはず」(上木)とそれぞれの言葉で語っていた面々が、芝居の稽古に入るとピタリと息を合わせるのが面白い。17歳になりきったキャストが、耳にしただけで自然に体が反応しそうなノリのいいミュージカル・ナンバーを繰り出しながら、先読みのできない奇想天外なストーリーを小気味いいテンポで展開していく。

「この作品はおとぎ話です。あべこべの世界であり、痛烈なパロディです。そして、マンガチックな笑いの連続技であり、とてもピュアなラブストーリーです」と小林。「“自分はマイノリティである。世間から肯定されていない”という人たちに対して、“あなたはあなたのままでいいよ”と強く伝える作品。そして、それをミュージカルという手段でやろうとしているのが、すばらしいと思います。世界のどこにもひけをとらないキャストが揃ったので、ひとりでもたくさんの方に観ていただきたいと思います」。

公演は、東京・シアタークリエにて2月18日(月)から23日まで。Webマガジン『ぴあ+〈plus〉演劇』2月号に、キャスト8人の撮り下ろしインタビューが掲載されている。