『「熱海殺人事件」40years'NEW』公開稽古より 『「熱海殺人事件」40years'NEW』公開稽古より

『「熱海殺人事件」40years'NEW』が2月2日(土)に東京・紀伊國屋ホールにて開幕する。1月31日、同劇場で公開舞台稽古が行われた。

『熱海殺人事件』は、2010年に他界したつかこうへいが〈文学座アトリエの会〉に書き下ろし、1973年に初演された作品で、史上最年少(当時)の25歳で岸田國士戯曲賞を受賞した作者の代表作として名高い。初演から40周年という節目を飾る今回の舞台は、つかの薫陶を受けた岡村俊一の演出のもと、馬場徹、EXILEのNAOKI、大谷英子、D-BOYSの牧田哲也の若き4人が、作品の原点に立ち返った正統かつ清新な演技を目指す。

劇団☆新感線の旗揚げ公演(1981年)が『熱海~』だったというのは知られているが、「正式な記録があればギネスに申請できたというぐらい、学生サークルまで含めると日本国内で8000回は上演されてきたはず」と岡村は言う。「つかさんご自身も何度も再演されました。でも、そのたびにあらすじだけ残してほとんどのセリフを変えてしまうので、形として残ってないんです。今回の台本は、昔出演していた方の記憶とか、劇団にあった資料やテープをたどったりして、これまでの上演の中で面白かったシーンをつなぎ合わせて作りました」。

物語は、熱海で起きた殺人事件があまりにも陳腐であることに憤慨した部長刑事が、事実をねじ曲げ、大衆受けしそうなスキャンダルにでっち上げる様子を描く。堂に入ったふてぶてしさで木村伝兵衛部長刑事に扮するのは、出演者の中で唯一つか本人と接点があり、“最後の愛弟子”と称される馬場だ。「『飛龍伝2010 ラストプリンセス』のオーディションで、いきなり1枚の紙を渡されて“これ読め”と言われて。緊張のあまり過呼吸になったんですが、結果、出演できることになりました。食事に誘っていただいて、鯖寿司を大量にご馳走になったのも、いい思い出です」。

木村のやり方に反発する田舎刑事・熊田留吉を演じるのは、牧田。「足を踏ん張ってセリフが言えるように、20キロのおもりで出来た養成ギプスをしながら稽古しました」という言葉どおり、ブレのない役作りで、常軌を逸した劇世界と客席をスムーズに結ぶ。一方、犯人・大山金太郎役に挑むNAOKIは、「去年4時間半のドームツアーをやったんですけど、それと変わりないぐらい体力を消耗する舞台」と語り、ド派手な登場で場内の空気を一気にヒートアップさせるなど、エネルギーに出し惜しみがない。「つかさんの書くセリフだと、知らなかった九州弁もナチュラルに言えるから不思議」と語る大谷は、水野朋子婦人警官の役で出演。ポーカーフェイスで笑いを取りながら、一場面では頬に涙が伝う熱演も見せ、決してひと色では表現できない作品の奥行きを象徴していた。

2月2日(土)から18日(月)まで紀伊國屋ホール、3月2日(土)に大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演。