筧利夫と平幹二朗の、セリフとセリフのケンカ! 行定勲演出の舞台『テイキング サイド』開幕

2013.2.1 17:4配信
舞台『テイキング サイド』 舞台『テイキング サイド』

今もなお、時代を超えて輝き続ける20世紀最大の指揮者ヴィルヘルム・フルトヴェングラー。彼は、第2次世界大戦後、ナチスへの協力を厳しく審議された人物でもあった。

『テイキング サイド』チケット情報

2月1日(金)から、天王洲 銀河劇場で上演されるストレート・プレイ『テイキング サイド』は、大指揮者の戦争協力を徹底的に追及する白熱の対話劇。筧利夫と平幹二朗の競演をひと足先に見届けるため、開幕に先がけて行なわれた公開リハーサルに足を運んだ。

演出の行定勲が、フルトヴェングラーに敬意を表して、意表を衝くイントロダクションを用意していた。フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルの、ベートーヴェン交響曲第5番「運命」の第4楽章をバックに、何と、5分以上の時間をかけてゆっくりと客席が暗転していく趣向。フルトヴェングラーの特徴であるテンポの自在な変更によって、ベートーヴェンの楽曲が、巨大な生き物のようにうねり、熱く加速していくさまが体験できるはずだ。

戦勝国アメリカの将校アーノルド(筧利夫)が、ナチスとの関係を疑われるドイツ国民の英雄的指揮者フルトヴェングラー(平幹二朗)を、敵意もむきだしに、情け容赦なく尋問し、尋問し、尋問する。筧利夫と平幹二朗の、セリフとセリフのケンカである。

フルタイムで出ずっぱり筧利夫は、つかこうへいの芝居でもおなじみのあのセリフのトーン。スピードに乗ったセリフが、熱を帯びてクレッシェンドしていく。それを受ける平幹二朗は、緩急やため、感情の昂ぶりを随所に作っていく、ギリシア悲劇のような荘重なセリフ回し。こちらもいつもの平幹二朗ぶしである。アーノルドの執念には理由がある。ユダヤ人の彼は、ナチのホロコーストを目の当たりにし、安眠を奪われた。彼のトラウマを、行定勲が、生々しい当時の記録映像を差し込んで視覚化する。目を背けずに、アーノルドの悪夢の映像に向き合う義務が、わたしたちにはある。

ラスト、アーノルドの執拗な追及は、フルトヴェングラーを追い詰めるかに見える。だが、この対決に勝者はない。どぶ鼠色の瓦礫の山、暗く垂れ込めた空。ベートーヴェンの交響曲第9番の第1楽章が、劇場に闇を誘って、芝居は終わる。

リハーサルの直後に行なわれた会見で、演出の行定勲は言った。「東北の震災の後に、この脚本と出会った。芸術家が震災後に何ができるか、その思いが、フルトヴェングラーの姿とシンクロしてしまった。戦争と震災はもちろん違うが、見えなくなるものがあるのも芸術なら、救われる何かがあるのも芸術。この作品のテーマは、今に通じると思う」。

公演は2月1日(金)から、天王洲 銀河劇場ほかにて。チケットぴあでは東京公演の割引当日引換券も発売中。

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