■深夜帯では『ミエリーノ柏木』がオススメ

リサーチでは、深夜ドラマも別に調査したが、トップはテレ朝系の『信長のシェフ』だった。コミック原作のタイムスリップものなので、これも大きく外すことはないと思われたのかもしれない。視聴率も11時台のドラマなのに平均で2ケタをキープ。タイムスリップものの常として、細かく見ればツッコミどころは多いのだが、戦国の世で現代のシェフが料理の腕をふるうという設定を単純に楽しめるところがいい。

2位はテレ東系の『まほろ駅前番外地』。すでに映画化されている『まほろ駅前多田便利軒』の続編なので、期待値が高かったのもうなずける。これはもう安定のテイストなのだが、視聴の仕方としては『最高の離婚』といっしょに見るのがオススメ。いろんな瑛太が堪能できる。3位の『カラマーゾフの兄弟』は、『信長のシェフ』と同じ11時台の作品だが、こちらの平均視聴率は7%台。チャレンジ精神あふれる企画だし、音楽もいいのだが、ちょっと見続けるのに疲れる仰々しさはある。

TBS系の『終電バイバイ』は、個人的にちょっと期待していたが、凝りすぎていて素直に楽しめない感じ。もう少しエンタメを意識してもよかったのにな。『コドモ警視』は、『コドモ警察』のときの鈴木福くんと吉瀬美智子のように、マリウス葉と釈由美子の絡みが数少ない見どころ。釈由美子は、本来は大人であるマリウス葉の同僚で潜入調査官なのだが、保健の先生として小学校に潜入しているところがまたいい。

事前の情報が少なくてリサーチの項目に入っていなかったが、日テレ系土曜深夜に放送している稲垣吾郎主演の『心療中』は、ちょっとタイプの違うドラマなので、チェックしておく価値はある。もともとイスラエルで作られたドラマを参考にして作られたようで、スクールカウンセラー・天間了を演じている稲垣吾郎が、生徒たちと会話をするというワンシチュエーションでストーリーは展開している。天間自身も大きな悩みを抱えているのだが、そうした深層心理を会話で描いているところが面白い。

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ただ、個人的にオススメなのは、期待値では最下位だったテレ東系の『ミエリーノ柏木』。渡辺麻友が主演した『さばドル』と同じように、AKB48の柏木由紀が本人の設定で主演しているのだが、そのドラマを撮影しているという客観性も踏まえたドキュメンタリーっぽい作りになっている。ただ、共演している佐野史郎とキングオブコメディの今野浩喜は、柏木由紀がAKBであることを知らない設定っぽい。そういう雰囲気のなかで、柏木由紀が電話で秋元康に呼び出されたり、シーンの途中で振り付けのおさらいをしていたりする。まあ、ひとことで言えばゆるいドラマなのだが、タカハタ秀太のセンスを活かした崩し方なので、やたらと面白い。テレ東系ということで見られる地域は限られるかもしれないが、DVDが発売されたら要チェックだ。

たなか・まこと  フリーライター。ドラマ好き。某情報誌で、約10年間ドラマのコラムを連載していた。ドラマに関しては、『あぶない刑事20年SCRAPBOOK(日本テレビ)』『筒井康隆の仕事大研究(洋泉社)』などでも執筆している。一番好きなドラマは、山田太一の『男たちの旅路』。

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